2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマによる原子スケール構造制御の理論・シミュレーション研究
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
22110508
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
浜口 智志 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60301826)
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Keywords | プラズマ / 分子動力学シミュレーション / プラズマ表面相互作用 / イオンビーム / 反応性イオンエッチング / ダイヤモンドライクカーボン |
Research Abstract |
本研究では、プラズマ照射下という極めて強い非平衡状態における物質表面・界面近傍のナノスケールの自発的構造形成機構の解明と、そのナノ界面の近傍の「揺らぎ」の関係を、原子レベルシミュレーションとイオンビーム実験を用いて明らかにすることを目的とする。本年度は、プラズマ照射下における気相と物質層との界面における原子プロセスの例として、DLC膜堆積プロセスを取り上げ、プラズマ化学蒸着(PECVD)時におけるイオン照射によるsp3構造生成の機構を、水素による緩和プロセスと入射イオンの揺らぎに着目して、解明した。この研究では、分子動力学(MD)シミュレーションコードを用いて、炭化水素(CH3等)照射および炭素と水素の同時照射を比較することにより、薄膜堆積過程において、sp3(ダイヤモンド様炭素の分子軌道)形成率の、水素の存在量と炭素の入射エネルギー依存性を明らかにした。また、プラズマ物質界面のナノスケール構造および機能形成のもう一つの例として、プラズマ照射による増殖拡散の効果を調べた。これは、半導体デバイス製造工程の一つであるゲートエッチングプロセスにおいてシリコン・リセスと呼ばれる現象に関連して近年注目を集めている現象であるが、水素プラズマ処理中に、ゲート酸化膜の下の結晶シリコンが酸化する現象であり、水素イオン入射により、酸素のシリコン中への異常拡散が原因であることを、本研究によって明らかにした。また、分子動力学シミュレーションを用いて、水素入射により、結晶シリコンがアモルファス化すると同時に、酸素のシリコン中への拡散係数が上昇することも確認しており、現在、増殖拡散係数の水素入射エネルギー依存性を調べている。
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Research Products
(51 results)