2010 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ-シリコン表面相互作用で誘起される欠陥生成メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
22110511
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80346931)
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Keywords | シリコン / 欠陥 / 生成過程 / 多重内部反射 / 赤外分光法 / その場・実時間計測 / アモルファス化 |
Research Abstract |
シリコン(Si)は現代産業の基盤となる電子材料である。Siの加工・膜堆積のあらゆる反応には、水素が関与するといって過言ではない。しかし、水素ラジカル・水素イオンのシリコンの反応、すなわち水素プラズマ-表面相互作用には不明な点が多い。その1つが、水素プラズマの照射によりSi表面に形成される欠陥メカニズムである。この欠陥形成過程が分かり、制御できれば、これまで以上にエッチングや膜堆積の精度が向上する。しかし、水素の吸着状態さらにプラズマプロセス中での反応を調べることは難しい。 そこで、本研究では多重内部反射赤外分光法を備えたプロセス観察装置を開発し、水素プラズマ-Si表面相互作用を調べた。水素プラズマの曝露により生成されるSi表面の水素化物形成過程を調べた。その結果、Si表面の原子配列はプラズマ曝露により崩れ、水素はSi結晶中へも侵入し欠陥を形成されることを示す結果が得られた。さらに、水素プラズマの曝露を続けると、アモルファス化が進行し膜中にアモルファス成分のSiH_2が形成されることが分かり、欠陥形成がアモルファス化の前駆体となっている可能性を示せた。基板にバイアスを与え基板に引き込まれる水素イオンのエネルギーを大きくすると、結晶中に引き込まれる水素の量も増大する。しかし、欠陥が形成され形成された後にアモルファス成分のSiH_2が形成されるという順番には変化がなく、ここからも欠陥形成がアモルファス化の前駆体となることを示していると考えられる。面方位をかえて実験を行ったが、この様子は変化しないことがわかった。さらに、欠陥やアモルファス化は基板加熱により防げることがわかった。今後の研究の大きな基盤を構築できた。
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