2010 Fiscal Year Annual Research Report
極低温強制対流場を用いたナノ構造物作製の試み
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
22110519
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
川崎 仁晴 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (10253494)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 超流動液体ヘリウム / 液中放電 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)をはじめとするナノ構造物は、サイズ効果により極めて特異的な機械的、化学的、電気的な性質を持つ。そのため、様々なナノ構造物が作製され、機械、電気、情報分野だけでなく医学やバイオテクノロジーの分野にまで応用が進んでいる。一方において、ナノ構造物の形成機構は不明な点が多く、制御方法に関しても十分には進んでいない。 一方、特徴的なナノ構造物の作製法として、低温液体中のアーク放電(液中放電)によってCNTが生成可能であることが注目されている。これは、CNTの形成や特性の決定に、反応場の温度が強く関与しているとする実験結果や分子動力学法を用いた数値シミュレーション結果を利用したもので大きな冷却効果が見込め、特異的な性質のナノ構造物を大量に作製できる可能性を持つ。その結果、この方法を用いて、これまでに様々な特徴的CNTが作製されてきた。 申請者もこの方法に注目し、CNTを制御性良く作製させるために、4Kの超流動状態液体ヘリウム中で、液中放電や液体ヘリウムによって作製することを試みている。その結果、作製される量は少ないものの多層CNTや、ウオール状のカーボンナノ構造物の作製に成功している。しかしながら、期待していた成長初期のCNTや成長速度の制御、これまでとは大きく異なる構造や特性を持つカーボンナノ構造物の作製はできなかった。これは、液体ヘリウムの蒸発速度は水や液体窒素と比較するとはるかに大きく,実験時の液体中アークプラズマの装置構造では,気泡の発生が液体ヘリウム特有の極低温の効果を抑制してしまうためだと考えられる。そのため、液体ヘリウム中の放電やPLD時に発生する気泡がプラズマ反応場における冷却効果にどのような影響を与えるのか調べ、その結果をもとに新しい物質の創製方法を開発する必要がある。
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