2010 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の形成と構造進化の解明に向けた超伝導遷移端センサの信号多重化の革新
Publicly Offered Research
Project Area | The Physical Origin of the Universe viewed through the Cosmic Background Radiation - from Cosmological Inflation to Dark Ages - |
Project/Area Number |
22111513
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Research Institution | Japan Aerospace Exploration Agency |
Principal Investigator |
竹井 洋 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (30509857)
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Keywords | 宇宙物理 / 超伝導材料・素子 / X線天文学 / 中高温銀河間物質 / SQUID / 超伝導遷移端温度計 |
Research Abstract |
超伝導遷移端温度計(TES)センサアレイは、極低温で動作し、低ノイズ、すぐれた分光能力を持つため、将来のマイクロ波天文学(宇宙マイクロ波背景放射の偏光観測など)とX線天文学(近傍宇宙の高温宇宙の構造進化など)の両者において非常に有望な検出器である。しかし、極低温への熱流入を抑える信号多重化の方式が未熟であり、大規模アレイ実現のための課題である。本研究では、TESの信号をAM変調し多重化する周波数分割方式の開発を進めた。室温と極低温部間の位相の遅れを補償するベースバンドフィードバック方式の開発を進め、多重化の際の周波数スペーシングが150kHz程度必要であることを明らかにした。スペーシング周波数がこれより小さいとクロストークによるSQUIDノイズの混入によりノイズレベルが劣化してしまうことを示した。また、多重化に必要なSQUIDやマイクロストリップ線路の設計にも着手した。 実験的研究と並行して、宇宙の京成や構造進化の解明に向けたX線による観測的研究も実施した。特に、銀河系、銀河団、銀河関空間を幅広く観測することで、物質や元素の循環を明らかにしようと試みた。その結果、銀河内の高温ガスのスケールハイトが数千光年にわたって広がっていることや、銀河団外縁部の高温ガスの温度、密度、金属量をこれまでにない精度で明らかにすることに成功した。特に、銀河団外縁部のバリオン/暗黒物質比が宇宙の平均的な値と一致していると考えて矛盾がないこと、銀河団外縁部では物質分布にむらが大きいことが示唆された。さらに、銀河間空間にフィラメント状に存在する中高温銀河間物質の検出可能性を議論した。
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[Journal Article] Baryons at the Edge of the X-ray Brightest Galaxy Cluster2011
Author(s)
A.Simionescu, S.W.Allen, A.Mantz, N.Werner, Y.Takei, R.G.Morris, A.C.Fabian, J.S.Sanders, P.E.J.Nulsen, M.R.George, G.B.Taylor
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Journal Title
Science
Volume: 331
Pages: 1576-1579
Peer Reviewed
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