2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌におけるアロ認証機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
22112502
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
漆原 秀子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00150087)
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Keywords | 細胞性粘菌 / 有性生殖 / 細胞識別 / 膜融合 |
Research Abstract |
細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの有性生殖様式は主として他家接合で、I型、II型、III型の3種類の交配型が知られている。それぞれ自分とは異なる交配型の配偶子とのみ融合して接合子を形成し、マクロシスト形成に至る。これまでに有性生殖関連遺伝子として細胞融合能を失った変異体の原因遺伝子macAと細胞質に局在予測されている交配型特異的な遺伝子matAが同定されているが、それらの詳細な機能は不明である。本研究では、これらの2遺伝子を手掛かりとして細胞性粘菌有性生殖過程における細胞間相互作用の分子メカニズム解明を目的として研究を行った。まず、macAの構造がI型とII型で完全に一致することを確認し、そのことから細胞識別ではなく膜融合に関与していることが示唆された。一方、その産物は細胞膜上に局在する糖タンパク質であるが、発現レベルが交配型によって異なることがわかった。もう一つの遺伝子matAの欠損株で細胞融合を解析し、完全に融合能を欠失していることからmatAが配偶子形成の制御に働いていることが示唆された。また、化学誘発された有性生殖能を欠損した変異体2株においてmatA、macAの2遺伝子が塩基配列、発現パターンも正常であることを見出し、配偶子間相互作用に不可欠な第3の遺伝子が存在することが明らかとなった。植物で同定されたGCS-1/HAP2の相同遺伝子がレベルは低いながら配偶子での発現が確認されたため、その有力な候補遺伝子として破壊株の作製を進めている。
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