2010 Fiscal Year Annual Research Report
接合突起の比較解析に基づく同型配偶子の接着と融合の分子メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
22112505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 久義 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (40250104)
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Keywords | 同型配偶子 / 接合突起 / 配偶子融合 / 配偶子接着 / 片親遺伝 |
Research Abstract |
配偶子形態に大差がない同型配偶における配偶子の膜融合の基本的な分子メカニズムを研究することで、真核生物におけるアロ認証の基本的分子メカニズムが浮き彫りにされてくることが期待される。しかし、研究が進んでいたのはプラス交配型の配偶子だけに接合突起のあるクラミドモナス(Chlamydomonas reinhardtii)で、プラスとマイナスの両交配型の配偶子から単離した接合突起の比較解析が出来ない。ところが、クラミドモナスに近縁な群体性ボルボックス目のゴニウム(Gonium pectorale)は同型配偶子の両方の交配型に接合突起があるので(Nozaki 1984,JPn.J.Phycol.)、両交配型の接合突起め比較3解析が実施できるという発想で本研究はスタートした。本年度は、ゴニウムのプラスとマイナスの交配型を単独で性誘導し、両交配型で細胞壁を離脱した接合突起を発達させた配偶子を誘導する方法論を確立した。誘導された配偶子はプラスとマイナスに形態的な差異はなく、細胞壁のない2鞭毛性で、鞭毛基部に細長い細胸質状の接合突起が観察された。アクチン抗体を用いた間接蛍光抗体法で両交配型の接合突起にアクチン蛋白の局在が明らかになった。 色素体DNAは片親遺伝するが、クラミドモナスやボルボックスでは2-8%の例外が報告されている(e.g.Boynton et al.1987,PNAS)。しかし、これらの研究では色素体DNAがRFLPで明瞭に区別できるような遺伝的差異があり、部分的な生殖的隔離のある両親株を用いている。本年度、両親の色素体DNAはPCRで差が認められるが、生殖的隔離がほとんどない群体性緑藻ゴニウム・マイアプリリス(Hayama et al.2010,Phycologia)の107株のF1を用いて,色素体DMの遺伝様式を調査した。その結果、本種の色素体DNAは例外なくプラス交配型(MIDオーソログを欠く)からの片親遺伝であった。
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