2010 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類の卵管で貯精を制御するアロ認証機構
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
22112509
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
笹浪 知宏 静岡大学, 農学部, 准教授 (80322139)
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Keywords | 精子貯蔵管 / プロゲステロン / プロゲステロン膜受容体 / 卵管 / ウズラ |
Research Abstract |
ニワトリやウズラなどの家禽では,雌性生殖器内に侵入した精子を長期間生存させる為の精子貯蔵管(SST)が,卵管の子宮膣移行部および漏斗部に存在する。このため、家禽は一度交尾や人工授精を行なうと、その後交尾や人工授精を繰り返さなくても受精卵を産み続けることが可能である。この現象は古くから知られているが、その分子機構は明らかでない。本研究では,SSTにおける貯精の分子機構を解明することを目標としている。 ウズラを交尾させ、SSTのホールマウント標本を作成して観察すると、精子は交尾後1時間以内にSSTに侵入するが、死滅精子を人工授精してもSST内に精子は観察されなかった。このことは、SSTに生存精子のみを選択して受入れる機構が存在することを示唆している。一方、SSTの上皮細胞を電子顕微鏡で観察すると、細胞内に多くの分泌顆粒が観察され、SSTが何らかの物質を分泌して精子を引き寄せている機構が推察される。SSTに侵入した精子を観察すると、摘出直後は運動性が抑制されているが、1時間程体外でインキュベートすると、SSTからの精子の放出が観察された。この仕組みは明らかでないが、生体内ではSSTが積極的に精子の運動性を低下させるような仕組みがあるものと推察される。一方、交尾後1時間に排卵ホルモンであるプロゲステロン(P_4)をウズラの静脈内に投与すると、SSTからの精子の放出が観察された。また、SSTからの精子の放出は排卵周期と同調している様子が観察された。P_4の膜受容体(mPR)が子宮膣移行部および精子に発現していることから、P_4がmPRを介して精子の放出シグナルとして働いているものと推察される。
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Research Products
(8 results)