2010 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物におけるアロ認識機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
22112512
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
掛田 克行 三重大学, 大学院・生物資源学研究科, 准教授 (50221867)
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Keywords | 自家不和合性 / Hordeum bulbosum / S遺伝子 / バイオアッセイ / 花粉培養 / VIGS |
Research Abstract |
オオムギ野生種(Hordeum bulbosum)は独立二遺伝子座(SおよびZ)支配の自家不和合性を有している。本研究では、このアロ認識機構の特異性決定因子の一つ、雌ずい側S遺伝子の有力候補HPS10(Hordeum Pistil S-specific 10)の機能証明を目的として、組換えHPS10タンパク質を用いた花粉培養によるin vitroバイオアッセイを行い、HPS10のSハプロタイプ特異的な花粉阻害効果を調査した。その結果、S_3HPS10-GST融合タンパク質を花粉発芽培地に添加した場合に、S_3花粉に対するハプロタイプ特異的な発芽阻害効果が認められた。一方、S_1ハプロタイプの組換えHPS10タンパク質にも花粉阻害効果がみられたが、明瞭なSハプロタイプ(S_1)特異的阻害効果は認められなかった。このようなバイオアッセイの結果の差異は、in vitro花粉発芽培地における花粉発芽率の程度に強く影響されることが示された。これらの結果から、雌ずい側S決定因子としてのHPS10の機能証明のためには、より安定して高い花粉発芽率の得られるin vitro花粉培養系の開発が必須であると考えられた。本年度はさらに、上記のバイオアッセイとは異なる証明手段として、VIGS(Virus-induced gene silencing)法によるHPS10遺伝子の一過的な発現抑制アプローチの適用を考え、当該手法の予備検討を行った。その結果、オオムギ栽培種の葉および発達中の穎果において、BSMVウィルスベクターを利用したVIGS法が有効であることが確認された。今後オオムギ野生種の開花前後の雌ずいにおいて当該手法を適用し、HPS10遺伝子の発現抑制とそれに続く受粉反応の調査を行うことで、S決定因子の機能証明を試みる予定である。
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Research Products
(5 results)