2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物のアロ認証に伴う雄側ミトコンドリアの排除とゲノム分解システムの普遍性
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
22112516
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 亘 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (20222002)
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Keywords | 植物オルガネラゲノム / 花粉 / ヌクレアーゼ / プラスチド / ミトコンドリア / 生殖 / 母性遺伝 |
Research Abstract |
今年度は、花粉でオルガネラゲノムを特異的に分解することが明らかとなったDPD1タンパク質について、以下の解析を行った。 (1)DPD1の機能解析 DPD1をHisタグとの融合タンパク質(DPD1-His)として精製し、in vitroで実際にエキソヌクレアーゼ活性があることを明らかにした。DPD1の花粉における詳細な発現を調べるために、DPD1プロモーター活性を緑色蛍光タンパク質GFPをレポーターとして花粉で調べた。その結果、DPD1は花粉の栄養細胞だけでなく、精細胞でも発現している可能性が示唆された。さらに、DPD1の花粉特異的な発現は、プロモーター活性だけでなく転写後制御を受けていると考えられ、DPD1遺伝子をターゲットとするnicroRNAを検索した結果、miR420が候補として浮かび上がった。今年度は、miR420がDPD1転写物蓄積を抑制することついて、タバコの共発現系により明らかにした。 (2)DPD1の母性遺伝への関与検証 アロ認証において最も興味深い疑問は、DPD1による花粉ミトコンドリアDNAの分解が、ミトコンドリアゲノムの母性遺伝に関与するかどうかを調べることである。今年度は母性遺伝の変化を調べるために、C24細胞質を持つdpd1変異体を作出し、これを花粉親として野生型Columbiaに交配したF1を作成し、ミトコンドリアゲノムの多型がC24型であるか、Columbia型であるかを調べた。約300個体のF1を調べた結果、父親由来のミトコンドリアゲノムを検出することはできず、dpd1がミトコンドリアゲノムの母性遺伝に直接関与するデータは得られなかった。以上の結果より、オルガネラDNA分解は直接母性遺伝に影響するのではなく、付加的に作用する可能性、あるいは、DNAのサルベージなど別の理由でDNA分解が進む可能性が示唆された。
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[Journal Article] The FtsH Protease Heterocomplex in Arabidopsis : Dispensability of Type-B Protease Activity for Proper Chioroplast Development.2010
Author(s)
Zhang, D., Kato, Y., Zhang, L., Fujimoto, M., Tsutsumi, N., Sodmergen, Sakamoto, W.
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Journal Title
Plant Cell
Volume: 22
Pages: 3710-3725
Peer Reviewed
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