2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質の機能解析によるALSの病態機序の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113506
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (20303167)
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Keywords | TDP-43 / ALS / 天然変性蛋白 / スプライシング / 封入体 |
Research Abstract |
ALSの原因遺伝子としてfused in sarcoma/translated in liposarcoma (FUS/TLS)やTDP-43が見いだされた.これらの遺伝子の発見は,ALS研究において新たな病態機序を提唱するに至った.驚くことに,何れの遺伝子もRNA結合能を持ち,RNA代謝において機能すると考えられている.さらに何れの蛋白質も,天然変性蛋白領域を高頻度で含んでいること,さらにその変性領域に変異が集中している.特にTDP-43は現在まで30種類以上の変異が報告されているが,そのほとんどすべてがC末の本来的に不規則な領域に集中している.またC末は単独では凝集体を形成しやすい.このため,これらの蛋白質の天然変性領域の機能を明らかにすることが,本症の病態解明において重要である.しかし,この天然変性蛋白領域の機能については全く明らかとなっていない.我々はTDP-43には新しい多数のスプライシングバリアントが存在し,このスプライシングバリアントの多くが天然変性蛋白領域に関係していることを見いだした.この事実からTDP-43の天然変性蛋白領域はTDP-43の安定性に深く寄与しており,これを欠くTDP-43のスプライシングバリアントは凝集性を増すことを見いだした.この発見により,TDP-43の天然変性蛋白領域の本症への関与が示された.
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