2010 Fiscal Year Annual Research Report
溶液X線散乱とNMR残余双極子結合を用いた解けた状態のタンパク質の構造特性解析
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113507
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
関 安孝 岩手医科大学, 薬学部, 講師 (30377220)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / 溶液X線散乱法 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
解けた状態にあるタンパク質の構造特性を明らかにすることは,球状タンパク質の折り畳み問題はもとより,天然変性タンパク質の機能発現における分子機構の解明においても重要である。しかし,膨大な多コンホメーション状態であるこれらの構造特性を解析する手法は確立されていない。多次元NMR法から得られる主鎖アミノ基の残余双極子結合(RDCs : residual dipolar couplings)は,解けたタンパク質でも観測可能であり,またその酸配列依存性は、理想的なランダムフライト鎖のそれとは異なることが知られている。RDCsの配列依存性は,局所的なアミノ酸配列と溶媒条件によって決定されると推測されるが,その詳細は明らかではない。そこで,解けたタンパク質の構造集団に対する各アミノ酸残基のRDCsを推定する計算方法を新たに開発した。この方法と主鎖2面角頻度分布に基づく解鎖構造生成法と溶液X線散乱(SXS)法を使って,尿素変性状態と酸変性状態のアポミオグロビンの構造特性解析を行った。その結果,近隣残基との立体障害の効果を考慮すれば,その他の配列効果を考慮せずとも実測のRDCsは概ね説明できることが明らかとなった。また,実測のRDCsを再現することができる主鎖2面角頻度分布の特徴も同時に明らかとなった。更に,実測したSXSプロフィルとの比較から,その溶媒条件で実質的に作用する溶媒和ポテンシャルの大きさを見積もることが出来た。
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Research Products
(3 results)