2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン天然変性部位の異常立体構造変換における役割
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113509
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
桑田 一夫 岐阜大学, 人獣感染防御研究センター, 教授 (00170142)
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Keywords | プリオン / NMR / 立体構造 / ダイナミクス / 構造変換 |
Research Abstract |
正常型プリオン(NMR構造)では、N端半分が天然変性状態でC端半分が立体構造を形成している。N端部分とC端部分に構造的な干渉が見られ、また天然変性部分を取り除いたプリオンは異常型に変換しないことから、天然変性部位がプリオンタンパク質の熱安定性や異常立体構造変換に大きく関わっていることが推察される。本研究では、PrP^cの天然変性部位と構造形成部位の相互作用を解明するが、特に天然変性部位がとると予想される中間体構造や、変性剤やCuとの結合によるマイクロ~ミリ秒の揺らぎの変化をCPMG緩和分散法を用いNMRで観測することにより明らかにする。また、CPMG緩和分散法のパルス系列も根本的に改良し、さらに天然変性部位の中間体構造から、プリオンの立体構造変換過程を解明する計画である。本年はまず、マウスプリオンのトリプトファンの位置を変えた置換した変異体を作成した。これを用い、内因性トリプトファン蛍光観測による連続フロー法から、速度論的中間体の検出に成功した。また、プリオンは銅が結合すると構造が変化するが、その振る舞いはよく理解されていないため、銅の結合に伴うESRスペクトルの変化を詳細に測定した。今後、理論予測値と比較する予定である。また、プリオンタンパク質をプリオン感染マウスの脳乳液と混合し、プリオンタンパク質の励起状態を直接観測した。具体的には、in vitro conversion法をすでに確立しているので、これをNMR試料管内で行った。また、N末端半分の領域を2種類の蛍光色素でラベルしたプリオンタンパク質の作成を行った。これを用い、温度ジャンプを1分子で行い、N端半分における天然変性状態から励起状態への転移反応を直接観測するための、1分子FRET観測用レーザー温度ジャンプ法測定装置を作成中である。
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