2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格関連遺伝子群転写調節因子MALがアクチン動態のセンサーとして機能する機構
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113510
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松浦 能行 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (10402413)
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Keywords | 天然変性蛋白質 / X線結晶解析 / アクチン動態 / 転写制御 |
Research Abstract |
RhoGTPaseは増殖因子など細胞外のリガンドからのシグナルによって活性化され、アクチン系細胞骨格の再編成をひきおこす。このとき、細胞質におけるアクチン動態の変化(アクチン重合の促進)の情報は核に伝えられ、細胞骨格関連遺伝子群(アクチンそのものを含む)や細胞接着関連遺伝子群の転写が調節され、必要な時に必要な量のタンパク質分子が合成されることで、細胞外からのシグナルに応答した細胞の形態変化や細胞の運動性・接着性の変化が効果的におこる。本研究では、このシグナル伝達系の鍵を握る転写因子SRFのコアクティベータMALの核移行がアクチン動態変化に応答する機構を解明するために、MALの核移行受容体を同定し、MALと核移行受容体の複合体のX線結晶解析により、MALがbipartite型の核移行シグナルをもち、2カ所で核移行受容体と結合することを明らかにした。さらに、MALと5つのG-アクチンの複合体のX線結晶解析を行い、回折の異方性や低分解能に適した構造精密化を行い、信頼性の高い結晶構造を解いた。また、MALに部位特異的にセレノメチオニンを導入して得たMAL:actin複合体結晶の異常分散差フーリエマップから、MALのメチオニンならびに何カ所かの疎水性アミノ酸残基の側鎖の位置を確認した。このMAL:actin複合体ではMALのRPELドメインを取り囲むようにアクチンが5つ結合しており、アクチン分子どうしも互いに接触していた。MALがバックボーンとなって、この大きな会合体形成の足場となっていると考えられる。以上の構造解析結果から、MALへの核移行受容体の結合とG-actinの結合が競合する機構を明らかにした。
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