2010 Fiscal Year Annual Research Report
基本転写因子TFIIDの機能発現における天然変性領域の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113517
|
Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
古久保 哲朗 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 教授 (10271587)
|
Keywords | 転写調節 / 転写因子 / 基本転写因子 / 転写開始 / 出芽酵母 / TFIID / TAF / TBP |
Research Abstract |
近年、単独では構造を持たない天然変性蛋白質(IDP)が、遺伝子発現制御を始め、様々な生命現象に深く関与することが明らかになりつつある。またIDPを特徴付ける天然変性領域(IDR)は、「連結した結合と折り畳み」と呼ばれる新規の結合様式により、複数の標的分子と特異的に相互作用する。この結合様式では、同一の標的分子に結合するIDR間の置換が極めて迅速に起こることから、構造変化を介するシグナル伝達には特に有効であると考えられる。TFIIDは多種類の転写活性化ドメイン(AD)によって活性化されるが、その結合部位は様々であり、AD標的部位も複数存在すると考えられる。またTFIIDと重複した機能を有するメディエーター複合体の場合には、テールドメイン(AD標的部位)やミドルドメイン(構造変化の中心)が特に多数のIDRを含むことから、TFIIDに存在するIDRについても新規AD標的部位や構造変化に必須の相互作用部位を構成する可能性が高い。本研究では、TFIIDの機能発現におけるIDRの重要性を確認するとともに、それらの分子機能の詳細を明らかにすることを目的とした。昨年度は、各種TafのIDR候補領域(Taf3[4],Taf4[3],Taf6[2],Taf7[4],Taf8[4],Taf9[1],Taf10[3],Taf11[2],Taf12[5],Taf13[2箇所])欠失株(△taf-IDR株)を順次作製し、YPD培地及びSD培地上での生育を25,30,37℃において比較した。その結果、複数の△taf-IDR株において何らかの生育不全が見られたが、その程度とDISOPRED2によるIDR予想値(probability score)の強度間には相関が見られなかったことから、TFIIDにおけるIDRの機能は単一なものではなく、多様なものと考えられる。
|