2010 Fiscal Year Annual Research Report
天然変性タンパク質としてのMutSの損傷DNA修復誘導メカニズム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
22113522
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
石田 恒 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60360418)
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Keywords | Muts / 天然変性タンパク質 / ミスマッチDNA認識 / 損傷DNA修復誘導反応 / ATP加水分解 / 分子動力学シミュレーション / 自由エネルギー計算 / 自由エネルギー成分解析 |
Research Abstract |
MutSはDNA複製エラーで起きたDNA損傷部位に特異的に結合し、損傷修復反応を誘導するタンパク質である。MutSには、ミスマッチDNA認識部位、ATP結合部位、MutL-MutH結合部位をもち、それぞれが異なる複数のターゲット分子を認識する。ATP結合部位には、構造の見えないループ(天然変性部位)があるが、このループはATP加水分解反応を制御し、MutHによるミスマッチ塩基除去を誘導すると考えられている。 本年度は、MutS(またはMutS変異体)と様々なミスマッチDNA(または正常DNA)との複合体について、分子動力学シミュレーションを網羅的に実行した。そして、それぞれのMutSとDNAの結合自由エネルギーを解析したところ、定性的に実験データと一致した。また、自由エネルギー成分解析により、DNA認識に重要なMutS部位を推定することができた。 さらに、なぜATPと結合したMutS-正常DNA複合体はATP加水分解をおこし、修復反応を中断させるのかを調べるために、ATP結合状態および非ATP結合状態のMutS-ミスマッチ(および正常)DNA複合体の分子動力学シミュレーションについても実行し、MutSとDNAの結合自由エネルギーを計算した。これにより、MutSにミスマッチDNAが結合するときと正常DNAが結合する時では、MutSのATP加水分解部位に構造的な違いが観測された。このことは、DNA認識とATP加水分解の関連性を示唆している。今後、この関連性の仕組みを分子レベルで解析する。
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