2010 Fiscal Year Annual Research Report
高CO2環境における土壌-植物系の炭素と窒素、リンの相互作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive studies of plant responses to high CO2 world by an innovative consortium of ecologists and molecular biologists |
Project/Area Number |
22114506
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舘野 正樹 東京大学, 理学系研究科, 准教授 (00179730)
|
Keywords | 環境 / CO2 / 植物 / 土壌 / 光合成 / 先カンブリア時代 / 窒素 / リン |
Research Abstract |
平成22年度には次のような進展があった。 1)理論的にも実験的にも、気孔の通常の開口によって葉内CO2は外気とほぼ同濃度になる。そのため、強光・高CO2での光合成速度は単純にルビスコのCO2濃度依存性を反映したものになる。したがって、現在の植物のもつ気孔の数を増加させたとしても生産性をさらに上げることは難しいことが明らかとなった。 2)高CO2環境での植物の物質分配は、成長速度を最大化するような制御をかける限り、変化しないことが理論的に予測された。この制御は現実の植物で実現されており、環境変化に対して進化的に強固なものであると考えられる。 3)高CO2環境では土壌-植物系のフィードバックにより植物への窒素の供給が減少するため、長期的的には高CO2環境での純生産量はあまり変化しないことが予測される。ただし、現状ではフィードバックが機能するまでに必要な時間については不明であり、今後の検討課題となっている。 4)現在の地球環境はほぼ先カンブリア時代に決定されており、シアノバクテリアによるCO2の固定が決定的なものであったといわれる。この固定に際して有機炭素が大気、地表、海洋から消失しており、結果として酸素過多の環境ができあがったことが明らかとなった。また、消失した有機炭素は現在も地球内部に存在しているはずであり、この存在場所とその形態の解明は資源問題の解決のためにも必要である。 平成23年度は、これらを発展させるとともに、平成22年度に扱えなかったリンを重点的に研究し、高CO2環境での土壌-植物系を総合的に理解することを試みる。
|