2010 Fiscal Year Annual Research Report
宿主感染に関与する寄生線虫の非コードRNAマシナリーの機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
22115501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
GOTO DEREK 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (40419205)
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Keywords | 線虫 / 植物寄生 / 植物細胞分化 / RNAi / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
植物に寄生するネコブ線虫は多くの農作物に壊滅的な被害を与えることが知られている。ネコブ線虫は根に寄生する際、宿主の細胞を分化させるが、その仕組みを明らかにする必要がある。非コードRNAマシナリーは、植物、動物を問わず、細胞の分化とその維持に深く関与している。本課題では、ネコブ線虫の寄生と宿主細胞変化における非コードRNAマシナリーの役割を明らかにする。ネコブ線虫M.hapla VW9種を使用し、RNAi機構の主要構成要素をコードしている遺伝子、Dicerが初めてクローンニングされ配列決定された。このことによって、ネコブ線虫におけるRNAi機構の活性を操作するターゲットが提示された。RKN幼虫内のターゲット遺伝子の発現解析のための、新たなRNA抽出法の確立に成功したため、定量リアルタイムPCR解析法により、ネコブ線虫の遺伝子発現を正確に測定することが可能となった。予備実験では、DicerのRNA量を減らす事に成功したが、線虫の動きにも影響がでたため、処理方法が厳格であった事が明らかになった。したがって、現在、線虫の動きに影響を与えない処理方法を使用している。 新規に発見されたmiRNAの寄生感染中における生物学的役割を解明するため、マイクロインジェクション法を用いて発見されたmiRNAを植物細胞に注入すう予定である。本年度は、マイクロインジェクションによって植物の培養細胞への新たな注入方法を立ち上げた。従来のマイクロインジェクション実験では植物培養は数時間程度しか続かないが、我々の培養方法を用いることで、マイクロインジェクション後、数日間継続して培養し続けることが可能になった。また、ネコブ線虫幼虫の純培養液からの分泌物を抽出するための新たなアプローチが確立された。これらの分泌物は、植物細胞の分化を誘導する活性を持つと考えられており、本研究においてこれらの分泌物の注入による植物細胞の変更が確認された。この成功により、次年度からmiRNAの役割を解明できるようになった。
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Research Products
(4 results)