2010 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の生殖細胞における新規小分子RNAの作用マシナリーの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
22115509
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田原 浩昭 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 研究員 (90362524)
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Keywords | 小分子RNA / 生殖細胞 / RNAi / Argonaute蛋白 |
Research Abstract |
遺伝子発現抑制の一形態であるRNA interference (RNAi)は、幾つかの内在性の遺伝子発現制御と反応経路の一部を共有している。それらの発現制御においては、小分子RNAと一緒に複合体を形成するArgonaute蛋白が制御因子として機能していることが一般的である。一部のArgonaute蛋白はRNA切断活性(Slicer)を示し、特に重要性が高い。筆者は線虫C. elegansをモデルとして、Slicer活性を示すArgonaute蛋白をこれまでに2つ同定してきた。Slicer活性を持つArgonaute蛋白の解析を通じて小分子RNAが関与する遺伝子発現制御について新たな知見を得たいと考え、それら2つの蛋白と相互作用する内在性小分子RNAについて解析することにした。 免疫沈降実験によって、どちらのSlicer蛋白もRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)産物であると考えられる内在性のトリ燐酸化siRNA(small interfering RNA)と相互作用していることを確認した。相互作用しているRNAについて大規模な配列解析を行ったところ、それらSlicer蛋白と相互作用している内在性siRNAの一部はmRNA集団の一部に対して相補的な配列を示し、又一部はがゲノムの非コード領域に配列が対応していた。興味深いことに、非コード領域に対応するsiRNAの1/3程度は性染色体の一領域に由来する分子集団に相当していた。性染色体に対応するsiRNA集団の発現はRdRPの一つであるEGO-1に依存しており、Dicerには依存していないことを確認した。性染色体に対応するsiRNA集団の生理学的役割を調べる目的で、siRNAの産生領域の欠失変異体の単離を共同研究で試みており、幾つかの部分欠失を得ることができた。
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