2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫の生殖細胞における新規小分子RNAの作用マシナリーの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
22115509
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田原 浩昭 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90362524)
|
Keywords | 小分子RNA / 生殖細胞 / RNAi / Argonaute蛋白 |
Research Abstract |
遺伝子発現抑制の一形態であるRNA interference(RNAi)は、幾つかの内在性の遺伝子発現制御と反応経路の一部を共有している。それらの発現制御においては、小分子RNAと一緒に複合体を形成するArgonaute蛋白が制御因子として機能していることが一般的である。一部のArgonaute蛋白はRNA切断活性(Slicer)を示し、重要性が特に高い。筆者は線虫C.elegansをモデルとして、Slicer活性を示すArgonaute蛋白をこれまでに2つ同定してきた。Slicer活性を持つArgonaute蛋白の解析を通じて小分子RNAが関与する遺伝子発現制御について新たな知見を得たいと考え、それらの蛋白と相互作用する内在性小分子RNAについて解析を行った。どちらのSlicer蛋白もRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)産物であると考えられる内在性のトリ燐酸化siRNA(small interfering RNA)と相互作用していた。 それらのSlicer蛋白と相互作用している内在性siRNAについて大規模な配列測定を本研究の初年度後期に行っており、更にコンピュータ解析を進めることによって得られた配列データに存在する特徴を抽出した。相互作用しているsiRNAの90%の5'末端がグアニンで始まっており、RdRPによってプライマー非依存的に合成されたsiRNAの特徴を反映しているものと考えられた。又、相互作用しているsiRNAの大部分は、mRNA集団に相補的な配列もしくはゲノムの非コード領域の配列に対応していた。後者に含まれるsiRNA集団には、性染色体の特定領域の配列が高頻度に確認され、ゲノム全体に分布する反復配列も中頻度に確認された。2つのSlicer蛋白を欠失した二重変異体を作製して表現型を解析してみたところ、生殖細胞における性染色体の不活化現象の顕著な異常が確認された。
|