2011 Fiscal Year Annual Research Report
マウス初期発生におけるStrawberry Notch1の機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116501
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 裕介 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20562333)
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Keywords | 哺乳類 / 発生 / 着床前胚 |
Research Abstract |
Strawberry Notch1(Sno1)はヘリカーゼに特徴的なドメインを含む核タンパク質であり、マウス着床前胚期に発現している。Sno1ノックアウト(KO)マウス胚では胚盤胞を形成せずに致死となるが、Sno1機能の分子メカニズムは未知である。培養細胞を用いた実験では、Sno1をsiRNA導入によってノックダウンすると、細胞の形態が著しく変化することを観察した。それらSno1ノックダウン細胞では細胞骨格を制御するRhoシグナリングの各因子の発現が変化していた。この結果を踏まえて、Sno1KOマウス胚にて、アクチン細胞骨格、細胞間接着、細胞極性因子の発現を調べると、それら因子の発現は大きく乱れていた。このことは、着床前胚においてSno1が細胞の形態を制御することにより細胞間接着・細胞極性形成、さらには胚盤胞形成に関与している可能性を示している。また、栄養外胚葉分化に必須の転写因子であるCdx2の発現を制御するシグナリングとして、Hippoシグナリングが知られている。Sno1KOマウス胚においてCdx2発現が著しく減少している原因として、Hippoシグナリングの下流にあるYap-Tead4複合体による転写活性にSno1が関与しているかを、ルシフェラーゼアッセイにより検討した。その結果、Sno1ノックダウン細胞では、Yap-Tead4による転写活性が約半分に減少していた。このことは、Sno1は、着床前胚においてYap-Tead4によるCdx2の発現制御に一部関与している可能性を示している。本研究ではさらにHisタグ-Sno1タンパク質を作製・精製しその結合タンパク質を単離しており、Sno1の機能解明に貢献すると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H23年度の研究目的としては1,Sno1と相互作用する因子の探索、2,Sno1のin vitroでの機能解析、3,Sno1のES細胞での機能解析を挙げていた。その結果、1,Hisタグ-Sno1は精製し終え、結合タンパク質の単離し、MSにより同定中であり、2,Sno1が各種培養細胞において細胞の形態をコントロールしていることを見出し、3,また、ES細胞からの栄養外胚葉分化系でのSno1ノックダウン実験、Sno1 KOコンディショナルES細胞の樹立を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
Sno1と結合する因子が同定できる予定のため、結合因子を通してSno1の哺乳類胚発生における作用機序を明らかにする。特に、Sno1は細胞の形態をコントロールしていることが分かったので、その作用がどのような分子メカニズムで行われているのかを解明する。また、Sno1コンディショナルKO ES細胞を樹立したので、Sno1 KO ES細胞とコントロールES細胞の遺伝子プロファイリングを行うことにより、Sno1が未分化性の維持に影響を及ぼしているのかを解析する。さらに、Sno1 KO ES細胞を用いて、各種細胞への分化誘導を行なった際の影響を調べることにより、Sno1の器官分化における機能を解析する計画である。
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Research Products
(1 results)