2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウス初期胚形態形成過程における細胞死動態のリアルタイム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116502
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 良文 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (10447443)
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Keywords | アポトーシス / カスパーゼ / 細胞死 / ライブイメージング / 神経発生 |
Research Abstract |
本研究課題では、ほ乳類初期胚で生じる現象、すなわち神経管閉鎖過程における細胞死(アポトーシス)と細胞増殖が形態形成運動と相関して、いつ・どこで・どのように生じるのかを一細胞レベルの解像度で明らかにすることを目的としている。本年度は、細胞死が阻害された胚(細胞死シグナル変異体や薬剤による細胞死阻害条件下)において細胞死、細胞増殖と形態形成とのリアルタイム観察を行った。まず、ライブイメージングに適した胎生8日目の胚を用いて、イメージング系の検討を行なった。細胞増殖パターンの可視化はHistoneH2B-EGFPトランスジェニックマウス(Science,316,p719,2007)を用いて行った。一方、細胞死パターンの可視化には、申請者らが開発したSCAT3とランスジェニックマウスを用いた。これらのマウスを用いて、神経管閉鎖過程における細胞増殖パターンの解明とカスパーゼ活性化パターンの解析をおこなった。さらにその結果と、細胞死シグナル阻害胚の観察結果を比較検討することで、細胞死シグナルの活性化が細胞増殖や胚の形態形成にどのような影響を及ぼすのか、明らかにすることを試みた。その結果、神経管閉鎖過程に生じる死細胞のふるまいには少なくとも2種類みられること、細胞死シグナル阻害化ではこれらの2種類の死細胞が消失し円滑な胚の形態変化が阻害されること、が明らかになった。さらに、これら細胞死シグナル阻害胚では神経管閉鎖が遅延していることも明らかにできた。これらの結果は、神経管閉鎖が円滑に進行するために、カスパーゼ活性化が重要な役割を果たすことを示唆している。今後は、細胞増殖への影響および胚の形態形成という問題に切り込みたい。
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