2010 Fiscal Year Annual Research Report
Stem zoneへのシグナルの量的制御による、体軸伸長の分子基盤
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116507
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹本 龍也 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (30443899)
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Keywords | 神経誘導 / 転写制御 / 幹細胞 |
Research Abstract |
脊椎動物の胴部体軸は、発生の進行とともに生み出される。最近の細胞系譜研究から、神経系細胞と中胚葉系細胞の共通前駆体である体軸幹細胞(axial stem cells)が、原条周辺領域(stem zone)に存在し、胴部体軸の細胞供給源として機能していることが示されている。Tbx6遺伝子変異マウス胚は、本来ならば体節中胚葉ができるはずの胚領域に、異所的な神経管が形成されるという表現型を示すことから、体軸幹細胞の制御の解明に重要な手がかりを与えると考えらた。 Sox2遺伝子エンハンサーN1は、原条周辺の胚盤葉上層の細胞群でのみ活性化され、体幹部神経板でのSox2遺伝子発現を開始させる。また、表層側から原条を通過して中胚葉領域に移動した細胞群では活性が消失する。ところが、Tbx6遺伝子変異マウス胚では、中胚葉領域に移動した細胞群でもエンハンサーN1の活性化が維持され、その結果、Sox遺伝子の発現も中胚葉領域で引き起こされる。発生がすすむと、異所的にSox2を発現する細胞群は、異所神経管を形成する。Tbx6変異マウス胚において、エンハンサーN1をゲノム上から欠失させると、異所的なSox2発現が消失するだけではなく、異所的な神経管形成が起こらなくなった。これらの結果から、Tbx6はエンハンサーN1を抑制し、Sox2発現を制御している。実際には、エンハンサーN1の活性化を担うWnt3aの発現が、Tbx6転写因子により抑制されている。また、正常胚の体節中胚葉領域において、Sox2を異所発現させると異所的な神経管が形成された。このような結果から、転写制御因子TBX6によるSox2遺伝子発現制御が、体軸幹細胞から中胚葉系への発生運命を決めることに必須であると結論づけた。
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Research Products
(3 results)