2010 Fiscal Year Annual Research Report
初期発生におけるクロマチン制御のリアルタイム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國府 力 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師 (70379238)
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Keywords | ゲノム発現調節 / 幹細胞 / 核構造 / 生物発光 / トランスポゾン |
Research Abstract |
ゲノムDNAは、通常、塩基配列(すなわち、1次元情報)のみが注目されがちであるが、現実には細胞核内の3次元空間において、ダイナミックな立体構造を取りながら機能している。よって哺乳類初期発生においても、ゲノムの3次元構造と細胞制御メカニズムとの関係が注目を集めている。ところが、3次元ゲノム構造は、未だ実験的解析法の選択肢が限られており、十分な理解が進んでいない。そこで本プロジェクトでは、独自の発想により「動く遺伝子」と呼はれるトランスポゾンを用いた新規の解析法を開発し、初期発生における核内3次元ゲノム構造の役割を解明して行く。 平成22年度は、トランスポゾンのローカルホッピング特性(ゲノム上の近傍に転移し易い性質)を活用し、ゲノム上の任意の起点から転移させたトランスポゾンの再挿入箇所を追跡することにより、3次元的に近接するゲノム領域を推定するシステムを構築した。具体的には、まず、マウスES細胞の特定の遺伝子座にトランスポゾンをノックインし、続いて転移酵素の導入によりトランスポゾンの転移を誘導した後、再挿入箇所を次世代シークエンサーで綱羅的に同定する。パイロット実験により各ステップの詳細な条件検討を行い、年度内にプロトコールを最適化することができた。 一方、3次元ゲノム構造がゲノム機能に与える影響をリアルタイムに観祭するため、エンハンサー活性を検出する短時間作用型の生物発光レポーター遺伝子をトランスボゾンに組み込み、マウスES細胞の多能性に関わる遺伝子群が集積するNanog遺伝子座にノックインした。続いて、このトランスポゾンを周辺ゲノム領域に転移させ、再挿入箇所毎にES細胞をクローン化した。その結果、ゲノムに沿った転写出力の変化を生物発光解析によりリアルタイムに可視化できる、ES細胞の分化実験系が確立された。
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