2011 Fiscal Year Annual Research Report
初期発生におけるクロマチン制御のリアルタイム解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
國府 力 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師 (70379238)
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Keywords | ゲノム発現調節 / 幹細胞 / 核構造 / 生物発光 / トランスポゾン |
Research Abstract |
近年注目を集める細胞核内の3次元ゲノム構造は、哺乳類初期発生においても、細胞調節の重要なファクターと考えられる。ところが、その実験的解析方法は限られており、未だ十分な理解が進んでいない。そこで本プロジェクトでは、近接ゲノム領域に跳び易い性質(ローカルホッピング特性)を持つDNAトランスポゾンを活用し、従来法とは異なる原理に基づいた3次元ゲノム構造解析法を新規に開発した。具体的には、マウスES細胞の任意のゲノム領域にトランスポゾンをノックインして起点を作り、トランスポゾンの転移を誘導した後、ゲノム中への再挿入箇所を次世代シークエンサーで網羅的に同定する。 平成23年度は、前年度に最適化したプロトコールに基づき、マウスES細胞の系で、特徴の異なる数カ所の遺伝子座に対して解析を行った。その結果、いわゆる発生関連遺伝子座にトランスポゾンの起点を置いた場合、起点から約2-3Mb以内の近傍の著明な集積に加え、塩基数にして約30-40Mb以上離れたゲノム領域に、トランスポゾンの「ホットスポット」が出現することが分かった。これらの多くは進化的に保存された非コード領域であり、起点のゲノム領域との間に3次元的な近接が示唆される。一方、多能性関連遺伝子座に起点を置い左場合には、近傍ゲノム領域への集積は見られるものの、上記のような遠隔領域のホットスポットは認めなかった。 従来知られているシスエレメントは塩基数にして最大でも約1Mbのゲノム領域内に位置するものが多く、今回発見された約30-40Mb遠隔のホットスポットは、既知のエレメントとは異なる機序の存在を示している。本年度の結果は、トランスポゾンの転移分布が個々のゲノム領域の核内3次元構造の違いを反映することを示唆し、初期発生のゲノム調節機構に新たな視座を与えるものである。
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