2011 Fiscal Year Annual Research Report
原腸陥入におけるミオシン分子の制御機構と役割の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116510
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田ノ上 拓自 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (10360588)
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Keywords | 極性上皮細胞 / アクチン細胞骨格 / 形態形成 / 細胞構築 |
Research Abstract |
本研究は、哺乳類原腸陥入におけるミオシン分子の制御機構と役割を明らかにすることを目的としており、主に、Luluという分子の機能解析を中心に進めていく計画内容である。 本年度は、当初研究計画の通りに、哺乳類原腸陥入の制御分子として知られているLulu分子の解析を中心に研究を進めた。具体的には、Lulu分子がミオシン分子の制御を担うことを明らかにし、その分子メカニズムを解明した。我々は、Lulu分子の結合分子としてp114RhoGEF分子を同定し、両者が上皮細胞の密接接合近傍で結合していることを見出した。p114RhoGEF分子はRho特異的な活性化分子であり、Luluと同様に、その機能を欠損すると上皮細胞のアクチン-ミオシン繊維が異常をきたし、細胞の形状が変化する。我々はさらに、Lulu分子がp114RhoGEFを結合することによって活性化することを見出した。また、Lulu-p114RhoGEF分子システムの上流の制御分子として、細胞極性の制御分子として知られているaPKCとPatjを同定した。Luluは、aPKCによってリン酸化されてp114RhoGEFの活性化能を失う。また、Patjは、p114RhoGEFを密接接合近傍にリクルートする機能を持つ。すなわち、細胞の極性制御とアクチン-ミオシン分子の制御が密接な関係性にあることを示した。 我々の本研究期間における研究成果は、Luluという原腸陥入の重要な制御分子の昨日と制御機構を分子レベルで明らかにした世界で初めてのものであり、哺乳類の原腸陥入の理解に大きく貢献したと考えられる。加えて、Lulu-p114RhoGEF分子システムの解析を起点にして原腸陥入の分子レベルでの理解が今後さらに進んでいくことが期待できる。
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