2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン制御因子ポリコーム群と転写因子のクロストークによる胚体外組織発生の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116513
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 充浩 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 研究員 (40391883)
|
Keywords | 栄養外胚葉 / 胚体外内胚葉 / ポリコーム / 転写因子 / 転写抑制 / マウス / 初期発生 / 細胞分化 |
Research Abstract |
栄養外胚葉の発生分化におけるポリコーム群の機能を調べるため、Ring1A/Bコンディショナルノックアウトの栄養芽幹(TS)細胞を樹立した。Ring1A/B欠損TS細胞は、分化条件(FGF4, MEFを除去)で培養しても未分化マーカー遺伝子(Cdx2, Eomes, Sox2等)の発現低下があまり見られず、Giant細胞へ殆ど分化しないことが分かった。またゲノムワイド解析により、Cdx2, Eomes, Sox2を含む5つの転写因子がRing1Bの標的遺伝子として同定された。実際これらの遺伝子のプロモーター領域において、ポリコーム群によるヒストン修飾レベルが分化誘導直後に急速に上昇する。さらに、これら転写因子の強制発現によりTS細胞の分化に障害が生じることも分かった。以上より、ポリコーム群は重要な転写因子群の発現抑制を介してTS細胞の分化促進に寄与すると考えられる。このことは細胞外からのシグナルに応答して細胞が分化する際に、ポリコーム群の機能が重要であることを示唆していると思われる。 次に、胚体外内胚葉におけるポリコーム群の機能を調べるため、Ring1A/Bコンディショナルノックアウトの胚性幹(ES)細胞にGata6GRを導入し、薬剤投与によりXEN様細胞(胚体外内胚葉細胞)を樹立した。このXEN様細胞においてRing1A/Bを欠損させると細胞形態が上皮様に変化し、Cdx2, Eomesといった胚体外外胚葉で特異的に発現する遺伝子の発現上昇が見られた。そこで野生型胚盤胞とのキメラを作成して、胚体のどの部分に生着するかを調べたところ、胚体外内胚葉のみならず胚体外外胚葉への生着が認められた。よって、ポリコーム群はXEN様細胞の細胞系譜を維持するのに必要であると考えられる。 以上の知見は、哺乳類初期発生過程における細胞分化や運命維持を制御する分子基盤の解明に大きく貢献すると思われる。
|
Research Products
(8 results)