2011 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン制御因子ポリコーム群と転写因子のクロストークによる胚体外組織発生の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
22116513
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 充浩 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 研究員 (40391883)
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Keywords | 幹細胞 / ポリコーム / クロマチン / エピジェネティクス / 初期発生 / 転写因子 / 転写制御 / 細胞分化 |
Research Abstract |
クロマチン制御因子ポリコーム群による胚体外組織発生の制御機構を理解する目的で、Ring1A/Bコンディショナル欠損TS細胞およびXEN細胞を作成し、解析を行った。Ring1A/Bを欠損したTS細胞は未分化培養条件(+FGF4,+MEF)で維持が可能であったが、分化条件下(-FGF4,-MEF)で分化に遅延が見られた。Ring1A/Bの標的遺伝子のうち、分化遅延の原因となる遺伝子を発現アレイおよびChIP-on-chip解析によりスクリーニングしたところ、Cdx2, Eomes, Sox2をはじめとする転写因子群が同定された。これらの転写因子の発現はFGF4またはMEFからのシグナルに依存しており、シグナルの除去に応答して発現が抑制される過程にポリコーム群Ring1A/Bが必要であることが示唆された。一方、XEN細胞はBMP4存在下で臓側内胚葉(visceral endoderm)へ分化することが知られているが、Ring1A/B欠損XEN細胞はBMP非存在下でも臓側内胚葉へ偏った分化傾向を示した。発現アレイとChIP-on-chip解析を行ったところ、XEN細胞においてBMP4投与依存性に発現上昇する転写因子の多くがRing1A/Bの標的遺伝子になっており、Ring1A/B欠損XEN細胞でも発現が上昇していることが分かった。TS細胞とXEN細胞を用いた以上の解析結果は、胚体外組織由来の幹細胞が細胞外シグナルに応答して分化する過程にポリコーム群が関与していることを示唆していており、幹細胞が分化能を維持するメカニズムを理解する上で重要な知見だと思われる。
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Research Products
(7 results)