2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然炎症による心血管・腎・代謝系の恒常性維持と病態形成の分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
22117504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 一郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (70359628)
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Keywords | 慢性炎症 / 自然炎症 / メタボリックシンドローム / マクロファージ / 糖尿病 / 慢性腎臓病 / Toll型受容体 |
Research Abstract |
自然炎症を、エネルギー(遊離脂肪酸等)供給の変化等、絶えざる環境変化に対して細胞・組織のホメオスタシスを維持する本質的には保護的な機能と考え、その分子機構を解析するとともに、自然炎症の長期化と破綻による生活習慣病発症メカニズムを解明することを目的とする。本研究計画ではこれらの研究成果をもとに、肥満により増加する内的なストレス要因として遊離脂肪酸に着目し、以下の検討を行った。(1)遊離脂肪酸に対するTLRを介したシグナル伝達系路による細胞機能の変調と、慢性炎症プロセス惹起の分子機構を検討し、遊離脂肪酸によって血管及び膵島で炎症が惹起されることを見いだした。ここでは、TLR4/MyD88を介したシグナルが重要である。また、マクロファージの遊走と活性化が、病態に重要であることを見いだした。(2)遊離脂肪酸を含むストレスへの応答における免疫細胞・間質細胞と実質細胞の相互作用を検討して、膵β細胞が遊離脂肪酸に対するセンサーとして機能し、以後の炎症プロセスの引き金を引くことを見いだした。遊離脂肪酸に応答した膵β細胞はMCP-1を産出し、CD11b^+Ly-6C^+細胞を膵島にリクルートする。CD11b^+Ly-6C^+細胞と膵β細胞の相互作用が、その後の炎症プロセスを推進する。(3)ストレスへの応答と細胞代謝の調節を統合する転写因子群のネットワークについて解析するため、転写因子KLF5と相互作用する核内受容体を系統的に探索した。
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