2010 Fiscal Year Annual Research Report
自然炎症を制御するTRAF6シグナルの分子機構の解明と内因性リガンドの同定
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
22117516
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小林 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (30380520)
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Keywords | 炎症 / シグナル伝達 / アダプター分子 / TRAF6 / ヘルパーT細胞 / エフェクターT細胞 / 制御性T細胞 |
Research Abstract |
本研究はシグナル伝達制御の観点から自然炎症の発症機序の解明を目指すものである。これまでに、TLRシグナルに重要なアダプター分子TRAF6がT細胞で欠損すると、T細胞が自然に活性化し、マウスに重篤な多臓器炎症性疾患が発症することを報告している。本年度は、TRAF6欠損T細胞が自然に活性化する分子機構を解明するために、マイクロアレイ解析を行った。TRAF6欠損マウスよりナイーブT細胞をセルソーターで分離し、T細胞受容体刺激を加える前と加えた後のT細胞からRNAを抽出してマイクロアレイ解析にかけ、野生型対照群と比較してTRAF6欠損T細胞で特に遺伝子発現が変化している遺伝子群が同定された。現在、それらの詳細な解析を進めている。また、T細胞内でTRAF6分子と相互作用する分子を免疫沈降法により解析し、いくつかの候補分子を同定した。現在、その分子の重要性を解析している。 一方、炎症を抑制する制御性T細胞で特異的にTRAF6を欠損させたところ、T細胞全体でTRAF6が欠損しているマウスと同様に自然炎症が観察された。この変異マウスでも皮膚炎が観察され、T細胞のIL-4産生が亢進しており、血清中のIgEレベルの上昇が認められた。以前の解析では、TRAF6欠損制御性T細胞の機能は正常であると考えられたが、当時の解析技術で見落としていた可能性があり、再解析の必要性が生じた。今後、エフェクターT細胞と制御性T細胞の両者の解析から、T細胞でTRAF6が制御する自然炎症の分子機序の解析を進める。
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Research Products
(3 results)