2010 Fiscal Year Annual Research Report
炎症細胞に特有の新しいTLR9制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
22117517
|
Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
反町 典子 独立行政法人国立国際医療研究センター, 消化器疾患研究部消化器免疫研究室, 室長 (30217468)
|
Keywords | ミトコンドリア / 自然免疫 / サイブリッド / 移植拒絶 / NK細胞 / MyD88 |
Research Abstract |
ミトコンドリアは独自の環状二重鎖DNAを持ち、核と独立にDNAを複製して増殖するが、このミトコンドリアDNA(mtDNA)は、呼吸に伴う酸化的リン酸化反応によって生じるROSによって、核DNAよりも酸化傷害を受けやすく、そのため変異の蓄積が著しく、多型にも富む。mtDNAにおける変異の蓄積は細胞機能にさまざまな影響を与え、ミトコンドリア病と総称される様々な疾患を引き起こすことも知られている。私たちはこれまでに、核DNAは同一だが異なるmtDNAを有する細胞(サイブリッド)を用いて、アロミトコンドリアを有するがん細胞および移植皮膚片が同一核DNAを有する宿主によって選択的に拒絶されることを見出した。本研究では、その移植拒絶に関わる責任細胞および責任受容体の同定を目的として行った。サイブリッドと種々の免疫不全マウスを組み合わせ、移植拒絶を解析した結果、獲得免疫細胞は関与せず、MyD88に依存した自然免疫応答が関与すること、樹状細胞とNK細胞が関与することを明らかにした(Ishikawa, K., et al., J.Exp.Med.2010)。また、NK細胞がサイブリッドを傷害する際の認識分子を検索することを目的として、アロミトコンドリアを有する細胞に特異的なモノクローナル抗体を樹立し、性状解析を進めた。本研究成果は、核型とは独立したミトコンドリアのallogenicity(mtDNAの配列の違い)が自然免疫細胞に認識され、非自己として排除される可能性を示唆するものであり、特に体細胞を用いた再生医療に新しい問題を提起したという点において重要な研究となった。
|
Research Products
(12 results)