2010 Fiscal Year Annual Research Report
バイオロジカルモーションの幾何学と脳内鋳型:刻印づけ手順による研究
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
22120502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松島 俊也 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (40190459)
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Keywords | 生物的運動 / 視覚 / 脳科学 / 社会的知性 / コミュニケーション / 社会的採餌理論 / 刷り込み / 社会的促通 |
Research Abstract |
バイオロジカルモーション(生物的運動、BM)は、ヒトや動物の動く姿を極度に単純化した動画から、生き生きとした生き物の姿が知覚される現象である。主要な関節の位置を光点(ドット)に置き換えて、その3次元的運動の2次元射影像を見るだけで、ヒトは対象の性別・情動・意図などを読み取ることができると報告されている。Johanssonによる発見以来、ヒト新生児においてもBMの知覚(BMへの選好性)が認められることから、この知覚が生得的であることが示唆された。更に、本研究の連携研究者(G.Vallortigara)によって、孵化直後の鶏雛(ヒヨコ)においても同様のBM選好性が見出されることから、BMの知覚は種の垣根を超えて普遍的な視覚系の動特性であることが示唆されるにいたった。 本年度は、刻印付け手順(インプリンティング、刷り込み)を施すことによって、BM選好性がどのように修飾されるか、特に強いBM選好性を誘導するため実験的手順を行動実験を通して体系的に検索した。その結果、先行研究といささか異なり、(1)ナイーブな個体(孵化直後に一切の視覚経験を持たないヒヨコ)は明確なBM選好性を示さないが、(2)刻印付けを施した個体は強いBM選好性を示し、かつ、(3)刻印付けに用いる視覚的刺激がBM性を備えている必要はない、事が示された。このことは、BM選好性が生得的であるという、先行研究の結論に修正を求めるものとなった。生得的であるが、しかし初期の視覚経験が必須であり、非特異的な経験によってBMへの選択的な行動が許容的に誘導されるものと解釈することができる。今後は、BM選好性をもたらす脳内部位を明らかにすると共に、更なる行動研究を通して動画像全体から成る空間における生物的構造を実験的に構成することを試みる。
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[Journal Article] Molecular function of microtubule-associated protein 2 for filial imprinting in domestic chicks (Gallus gallus domesticus).2011
Author(s)
Yamaguchi, S., Katagiri, S., Aoki, N., Iikubo E., Kitajima, T., Matsushima, T., Homma, K.-J.
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Journal Title
Neuroscience Research
Volume: 69
Pages: 32-40
Peer Reviewed
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[Journal Article] Bioluminescence imaging of c-fos gene expression accompanying filial imprinting in the newly hatched chick brain.2010
Author(s)
Yamaguchi, S., Fujii-Taira, I., Hirose N., Kitajima, T., Katagiri, S., Kawamori, A., Matsushima, T., Homma, K.-J.
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Journal Title
Neuroscience Research
Volume: 67
Pages: 192-195
Peer Reviewed
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