2010 Fiscal Year Annual Research Report
行動指令の動的生成機構としての前頭葉興奮性・抑制性神経細胞の機能分化と相互作用
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
22120504
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂本 一寛 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (80261569)
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Keywords | 前頭前野 / 行動指令生成 / 相転移 / 形状認識 / 遮蔽補完 / 仮設生成 / 発火揺らぎ / 興奮・抑制 |
Research Abstract |
平成22年度は、主に以下の二点につき研究を推進した。 無限定な環境に柔軟に対応するには行動指令を動的に生成する必要がある。前頭前野の興奮性細胞・抑制性細胞からなる神経回路で行動指令が動的に生成するかを理論・実験面から検討するため、神経発火揺らぎを検討した。理論計算からは、神経回路の力学状態が動的に遷移する際に発火揺らぎが上昇することが示唆された。それに対応するように、前頭前野における行動指令直前に発火揺らぎが上昇することが確認された。この研究成果は、神経活動実験データから、直接、脳内神経回路の力学的状態を評価する端緒として重要性を持つと思われる。 一方、日常生活では、物体を操作する場面が多い。しかしながら、日常場面では多くの物体形状は遮蔽され、操作行動指令を生成する前に、遮蔽された形状についての仮設を生成し、遮蔽された部分の形を補完して認識する必要がある。そこで、われわれは大脳皮質V4野の神経細胞活動の性質を参考に、形の遮蔽補完の計算論を構築した。特筆すべきは、これまでの計算論では不可能であった、部分的な対称性を用いた補完を実現できたことである。このような計算論は、実世界で活躍するマシン・ヴィジョンの発展に大きく寄与すると期待される。
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Research Products
(7 results)