2011 Fiscal Year Annual Research Report
フリッカ誘導脳波の解析による記憶の脳同期回路メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
22120511
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
佐藤 直行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (70312668)
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Keywords | 生体生命情報工学 / 生物・生体工学 / 認知科学 / 脳・神経 / 生物物理 |
Research Abstract |
うまく記憶ができているときには4~8Hzの脳波が強まることが知られているが、脳波は課題に無関係な成分が多いため,その詳細な神経メカニズムがわからない.そこで本研究では,バーチャル空間内の物体と配置を記憶する課題中に視覚性点滅刺激(フリッカ)を与えて6.8Hzの脳波を増大させ,その脳波の伝播の解析し,記憶に関わる脳部位間の同期回路の働きを調べた.フリッカがない場合には,これまでの報告と同様,記憶がうまくできる場合に7Hzの脳波のパワが大きくなった.フリッカを与えた場合,フリッカ誘導脳波は主に後頭部に現れるが,その伝播の広がりは記憶がうまくできる場合により広くなることが明らかになった.特にその効果はフリッカ開始時と停止時に大きく,うまく記憶ができる場合には誘導脳波のパワが立ち上がり・立ち下がりとも素早く応答した.これらの結果は,記憶に関連して同期回路の性質が変化することを示す.さらに,各脳部位を非線形振動子の相互抑制回路とした脳領野回路モデルを構成し,脳波の性質を検討した.その結果,誘導脳波の素早い応答を得るためには,脳部位間の興奮結合が強く,かつ領野内の相互抑制も強いことが必要であるとわかった.これは各脳部位が局所脳波の強さとその位相を自律的に調整していることを意味する.また,フリッカ誘導脳波が脳深部まで伝わるためには,自発的な脳波とフリッカ誘導脳波の位相の同期が必要であることも明らかになった.以上の結果は,同期回路の生成メカニズムを明らかにする上で重要な結果である.
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Research Products
(4 results)