2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光イメージング法による鳥海馬神経回路解析
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
22120513
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡 浩太郎 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10276412)
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Keywords | 神経回路解析 / 光学計測 / ゴルジ染色 / 複雑脳 / キンカチョウ / 海馬神経回路 / さえずり識別 / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
メスキンカチョウ海馬領域は、オスキンカチョウのさえずり識別を行っているのではないかという仮説に基づき、さえずり情報処理を行っている際の海馬領域神経活動を蛍光イメージングで調べると共に、この領域での神経構築を新規なマルチカラーゴルジ染色法により網羅的に解析したところ以下のことがわかった。 (1)pHイメージングによる海馬機能解析 脳表を露出させ、直接染色する方法から、腹腔内にニュートラルレッドを注入する手法に変更したところ、安定して海馬領域を染色できることがわかった。またキンカチョウのさえずり以外に、白色ノイズ、別の鳥の地鳴きなどを聞かせたときの神経活動を調べたところ、さえずりで強く応答する部位を蛍光イメージとして捉えることに成功した。またこのpH応答がさえずりを聞いたことによる神経活動であることを調べるために、耳石除去した鳥についてもイメージングを行ったが、海馬での神経活動は検出できなかった。これらの結果はさえずり情報処理をpHイメージングとして直接捉えることができることを示している。 (2)マルチカラーイメージングによる個別神経細胞の形態観察 メスキンカチョウ脳sagittalセクションについてのデータ取得は終了し、オス・メス双方でのcoronalセクションで同様な調査を進めている。オス鳥で知られている海馬内サブリジョンを参考にして、オス鳥メス鳥の脳神経細胞について調べたところ、メス鳥だけに特異的な神経細胞(Ovalneuronと命名した)を見出した。この神経細胞は大きな細胞体と短い神経線維が特徴てきであり、海馬の脳表面に近い特定の部位にのみ局在していることがわかった。また海馬領域内の神経線維投射にはオスとメスとで差異が無いことがわかった。
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