2010 Fiscal Year Annual Research Report
エックス線1分子計測法によるイオンチャネル準安定状態の観測
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
22121507
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清水 啓史 福井大学, 医学部, 講師 (50324158)
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Keywords | 生理学 / 生体分子 / 生物物理学 / 放射線 / 蛋白質 |
Research Abstract |
エックス線1分子計測法によりイオンチャネルの準安定状態を捉える計測システムを確立するため、European Synchrotron Radiation Facility (ESRF)に滞在して効率的に研究を遂行した。レーザー光利用による時間分解測定に経験の豊富なM.Wulff, L.Guerin, A.Royant博士の協力を得て、計測システムの構築に取り組んだ。従来のエックス線1分子計測法は平衡状態での観測であったため、観測される観測プローブ(金ナノ粒子)からの回折点の運動と閉状態、開状態といったイオンチャネルの構造との対応をつけることが困難であった。この問題を克服するため、光分解反応により溶液条件を急速に変化させることができるCaged化合物を利用した計測システムを構築した。現在観測対象としているKcsAチャネルは中性pHでは閉状態にとどまっている。中性pH条件で観測を開始し、観測中にトリガー光を照射することによって酸性pHヘジャンプさせてチャネルの構造変化を開始する。このシステムを用いて閉状態から開状態への遷移過程を連続的に高速度で動画計測することに成功した(観測速度1-5kHz)。また、エックス線1分子計測法は分子の揺らぎ運動の観測が可能なほど観測感度が高い(~0.1度程度)。観測データの蓄積と詳細な解析によって、今後イオンチャネルの機能(構造変化)と分子揺らぎの関係についての知見が得ることが期待できる。
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