2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経シナプスにおける接着複合体の準安定な二次元クラスター形成
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
22121513
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 淳一 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (90212000)
|
Keywords | 過渡的複合体 / シナプス / ニューレキシン / ニューロリギン / X線結晶構造解析 / 電子顕微鏡イメージング / クライオ電子顕微鏡 |
Research Abstract |
神経シナプスは安定な構造ではなく、多くの膜蛋白質と会合分子がダイナミックに入れ替わり、常に変化する存在である。本研究は、「シナプス間を連結する接着分子複合体が、きわめて弱い相互作用によってラテラルに集合離散することが、シナプスのダイナミックな構造と機能を結びつける鍵である」という仮説について、この準安定複合体の可視化と解析を通して検証するものである。シナプス前膜に発現するニューレキシン(Nrx)と、シナプス後膜に発現するニューロリギン(NL)を対象に、膜上に存在するNrxやNLによって過渡的複合体が形成する様子を電子顕微鏡イメージングで捉えることを目指した。まずNLとNrxのそれぞれを異なる色の蛍光蛋白質と融合し、それらを発現するHEK細胞を樹立し、その接着面を蛍光電子線相関顕微観察法(Correlation Light・Electron Microscopy;CLEM)によって観察した。その際に、NrxとしてNrx1β(約300アミノ酸)だけでなく、遙かに巨大な細胞外領域を有するNrx1α(約1200アミノ酸)を発現する細胞も作成し、同じNLを発現する細胞との間に形成する接着構造の比較を行った。その結果、Nrx1β-NL間に形成される密で規則的な二次元構造体に比べ、Nrx1α-NL間でのそれはまばらで不定形な「横木」構造であった。このことは、接着分子の細胞外領域のサイズによって、シナプス間での集積構造が大きく変化することを示唆している。次に、人工リン脂質膜上にNrxとNLを提示するリポソームを作成し、これをクライオ電顕で可視化した。その結果、リポソームの間に最外膜同士が平行に対合した接着構造が形成され、しかもその間隙にはNrx1β-NL接着構造と思われる密度が観察された。この結果は、膜上での準安定な蛋白質複合体構造を、固定や染色なしに解析するインタクトイメージングが可能であることを示した。
|
Research Products
(22 results)