2011 Fiscal Year Annual Research Report
In situ膜タンパク質NMR検出技術
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative understanding of biological processes mediated by transient macromolecular complexes; New technology for visualizing physiologically metastable states. |
Project/Area Number |
22121515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
児嶋 長次郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (50333563)
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Keywords | 構造生物学 / NMR / 膜蛋白質 / 細胞膜 / 分子認識 |
Research Abstract |
動的複合体状態は生命現象を理解する上で極めて重要であるが、原子レベル精度でそれらを解析するのは未だに困難である。特に膜タンパク質では足場としての膜自身の役割が大きく、in situでの動的複合体の解析が必須と考えられる。そこで本研究では膜タンパク質を生きている細胞のまま原子レベル精度で解析可能なNMR技術を開発する。具体的には、生きている大腸菌で観測したい膜タンパク質のみを安定同位体標識する技術やバックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号を抑制する試料調製技術と重水素フィルタ技術を開発することで相対的な感度向上を達成し、生きている細胞へDNP法を適用することで絶対的な感度向上を達成する。これらの感度向上法により膜タンパク質の生体内でのNMR検出を達成する。最終的にin situにおける膜タンパク質の動的複合体を原子レベル精度で解析する手法を開発する。 平成23年度は平成22年度に引続き基盤技術の開発を進め、(1)観測したい膜タンパク質のみを安定同位体標識する技術の開発、(2)バックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号を抑制する技術の開発を行った。 (1)では2回膜貫通型タンパク質pHtrIIの大腸菌大量発現系において、培養時に非標識培地を、誘導時に安定同位体標識培地を用いることで、観測したい膜タンパク質のみを安定同位体標識した。帰属や立体構造解析を容易にするため、均一標識試料だけでなくアミノ酸選択標識を行った。スペクトルシミュレーションによって帰属に有効と考えられた、Val、Lue、Pheの選択標識を行い、アミノ酸レベルでの帰属をほぼ完了することができた。(2)ではSPPシステムを用いた低温での発現誘導により、バックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号がほぼ完全に抑制されることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的は、様々な感度向上法により膜タンパク質の生体内でのNMR検出を達成することであった。生きている大腸菌で観測したい膜タンパク質のみを安定同位体標識する技術やバックグラウンドとなる大腸菌由来のNMR信号を抑制する試料調製技術によって、これを達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年計画の最終年であった2年目で、当初の研究目的を達成できた。本研究の将来的な目的である、in situにおける膜タンパク質の動的複合体を原子レベル精度で解析する手法を開発するという観点では、最初の目標をクリアしたにすぎないが、研究はおおむね順調に進展しており、研究遂行に大きな問題点は無い。
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Research Products
(3 results)