2023 Fiscal Year Annual Research Report
アンデス文明における土器製作の創発プロセス:境界領域の事例をもとに
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
22H04444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金崎 由布子 東京大学, 総合研究博物館, 助教 (10908297)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アンデス考古学 / 土器編年 / アマゾン考古学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アンデス文明形成期における土器出現から二千年間の土器製作システムの創発プロセスを明らかにするものである。本研究では、境界領域の流動的な社会状況のもとで、土器製作者のスキル、アイデンティティ、社会的立場 がどのように歴史的に形成されていったのかに焦点を当て、ワヤガ・ウカヤリ川流域の事例をもとに、文明形成期の土器製作システムの創発プ ロセスを明らかにする。 2022年度は、ワヌコ盆地の形成期前・中期の土器を中心として分析を行った。本年度は、形成期後期・末期を対象に、昨年度発掘調査を行ったチャウピヤク遺跡の土器分析、2023年度の踏査・試掘で出土した土器の分析、および2010年代に行われたワヌコ盆地での発掘調査で得られた出土土器分析を、学生らとともに実施した。 これらの分析の結果、ペルー北部中央山地の東斜面では、形成期全体を通じて、山地側と熱帯低地側の土器製作は相互に関係していたことが明らかになった。紀元前二千年紀には、熱帯低地で先行して開発されていたと考えられる土器の装飾技術や一部の器形が山地側のワヌコ盆地に導入された。反対に、紀元前一千年紀には、山地側で発明されたと考えられる土器スタイルが熱帯雲霧林地帯にまで広がっていた。一方で、それぞれの時期の各地点の土器スタイルを詳細に比較したとき、紀元前二千年紀と紀元前一千年紀では、「山地的土器」と「熱帯低地的土器」の共存の仕方は異なっていたことも明らかになった。これらの違いは、両時期における山地・熱帯低地の社会間の交流関係や、地域内での土器製作の実践コミュニティのあり方の違いが反映されているものと考えられる。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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