2022 Fiscal Year Annual Research Report
家畜化によるヒトと動物の関係変容に伴う性格関連遺伝子の変化
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
22H04449
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村山 美穂 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (60293552)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 個性 / 共通モデル / 家畜化 / ゲノム / 種間比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ユーラシアのオオカミから家畜化された最も古い家畜であり、伴侶動物としてヒトと社会的な絆の深いイヌを中心として、新奇探求性などの移動・拡散に影響する性格の基盤となる遺伝子の多様性を調べ、ヒトの民族や個体間の差違とも比較して、ヒトと動物との相互関係の歴史を遺伝子から紐解き、家畜化に影響したゲノム領域を解明することを目指す。具体的には、ヒトの民族間のゲノム差異のある領域について、イヌ品種のゲノムを比較し、差異の大きい候補領域を検出する。候補領域に存在する遺伝子について、イヌ品種間および個体間で、性格等との関連を解析する。性格との関連が見いだされた遺伝子を、ネコや他の家畜など、広範な動物種の間で比較する。 本年度は、アジアのイヌ(日本の対馬、屋久島、台湾等の在来犬)やオオカミを対象に全ゲノム情報に基づく一塩基多型(SNP)解析を進めた。対馬と屋久島各3個体、アウトグループとしてガーナの在来犬(写真1)5個体の血液からゲノムDNAを抽出し、Illumina社のライブラリー作製試薬(PCR有)によりライブラリーを調整した。次に、NovaSeq 6000を用いて全ゲノムシークエンスを行い、他の犬やオオカミのSRAデータベース上の登録配列と比較した。 全ゲノムシークエンス結果を解析した結果、ガーナのイヌのDNAからは約70%以上のイヌ由来のリードが得られた。一方、対馬、屋久島の在来犬からはほぼリードが得られなかった。これらは古いDNAサンプルであるため、断片化によって塩基配列の解読がうまくいかなかったことが原因の一つと考えられる。マップ率が60%以上の17個体に対しゲノム全域のSNPsに基づく主成分分析を実施した結果、ガーナ在来犬はボクサー犬に近いことが明らかになった。今後は他の在来犬のDNAについても精査し、ゲノム解読を進め、詳細な解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
在来犬の試料からゲノムDNAを抽出し、全ゲノムシークエンスを行った。よって計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムシーケンスデータを世界各地の在来犬のデータと比較し、詳細な解析を進める。
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