2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Ritual and Warfare in Ancient Maya Society
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Human Historical Science of "Out of Eurasia": Exploring the Mechanisms of the Development of Civilization |
Project/Area Number |
22H04456
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
塚本 憲一郎 京都外国語大学, 京都外国語大学ラテンアメリカ研究センター, 客員研究員 (20755368)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 戦争 / 捕虜 / 祭祀 / 古代マヤ王朝 / エル・パルマール遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、古典期マヤ王朝における戦争と儀礼の関係を明らかにすることを目的としている。エル・パルマール王朝の戦争への介入に関する直接的な証拠を得るために、本夏の調査は、特に石造記念碑の解読作業に重点を置いた。本年度は、これまで未調査の石造記念碑を高精度三次元計測によって復元し、そこに刻まれた図像と碑文を解読した。調査した7基の石造記念碑の中でも、石碑18の解読によって、エル・パルマール王朝が戦争に介入した直接の証拠を明らかにした。石碑に刻まれた碑文によると、エル・パルマール王朝は、後750年4月4日に諸王朝を焼き討ちし、その約1年後にあたる751年5月10日に、マヤ暦の完了を記念して大広場で儀礼が実施されたようである。石碑には、後ろ手に縛られて胡坐をかいた2人の高位の捕虜が背中合わせに座っている。これまでの調査と今回の発見により、エル・パルマール王朝の繁栄には、戦争と儀礼のどちらも必要であったと考えられる。 王宮を放棄する際の終結儀礼の焼け跡から出土した炭化物の同定は、フランス コート・ダジュール大学のリディア・デュッソル博士の協力により実施された。走査型電子顕微鏡による古植物種を同定結果、建物に使われたサポテ科以外にも、マツ材を特定した。熱帯雨林におけるマツ材の存在は、儀礼の際に火をたくために使われた証拠である以外にも、古典期終末期(後800-900年頃)の大規模な森林伐採と干ばつによって生態系が変化し、熱帯雨林の植生に温帯の針葉樹が侵入したためであると推測される。 これらのデータを昨年の調査成果に照らし合わせると以下のように考察できる。736年に、マヤ低地で最大の蛇王朝がティカル王朝に敗北して瓦解した時に、蛇王朝の同盟国も衰退する中で、エル・パルマール王朝はむしろその勢力を拡大して周辺王朝に軍事・政治介入した。その際に、戦争と祭祀は重要な役割を果たしたようである。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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