2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring spin nematic Skyrmions and their emergent phenomena
Publicly Offered Research
Project Area | Physical Properties of Quantum Liquid Crystals |
Project/Area Number |
22H04469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤城 裕 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20739437)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スキルミオン / スピン液晶 / スピンネマティック相 / 磁気四重極子 / トポロジカル相 / 磁性体 / 物性理論 / 冷却原子系 |
Outline of Annual Research Achievements |
2009年に磁気スキルミオンが磁性体中で観測されたことを契機として、実験と理論の両面から、磁気スキルミオンの研究が精力的に行われている。近年では、従来の磁気スキルミオンにはない特性をもつトポロジカルソリトンの探索が盛んに行われ、反強磁性体やフェリ磁性体などの様々な磁性体中のスキルミオンも議論されている。ただし、これまで安定なスキルミオン結晶が見出されていたのは、秩序変数空間がS^2=CP^1である古典スピン系あるいはスピン1/2の系に限られていた。 そうした中我々は、秩序変数空間が複素射影空間CP^2である、一般化Dzyaloshinskii-Moriya相互作用を含んだスピン1の強磁性体の模型において、低磁場領域と高磁場領域で異なる種類のスキルミオン結晶が系の基底状態として現れることを見出した。具体的には、高磁場領域では単位トポロジカルチャージをもつスキルミオンの三角格子が、低磁場領域ではトポロジカルチャージ1/2をもつスキルミオンから成るハニカム格子が系の基底状態であることがわかった。どちらの相も磁気四重極子を伴うスピン液晶の性質も有しているため、前者の相はスピン液晶スキルミオン結晶、後者の相はスピン液晶分数スキルミオン結晶(スピン液晶メロン結晶)と言える相である(系の秩序変数空間がCP^2であることから、CP^2スキルミオン/メロン結晶とも呼べる)。また、これらの配位は従来の磁気スキルミオンと同様に磁気双極子の構造因子にtriple-q構造を持つことに加え、スピン液晶スキルミオン結晶特有の性質として、磁気四重極子の構造因子においてもtriple-q構造を持つことを数値的に見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載したように、当初の計画にあったスピン液晶スキルミオン結晶だけでなく、当初の計画にはなかった、スピン液晶分数スキルミオンが整列したスピン液晶分数スキルミオン結晶(スピン液晶メロン結晶)も、スピン1の量子磁性体の模型で現れることを明らかにしたため。更にこの磁性体模型は、SU(3)スピン軌道相互作用を導入したスピン1のBose Hubbard模型の強相関極限から導出可能であり、冷却原子系でも実現可能であることを明らかにしたため。また、これらの成果に関して、学術論文にて発表するだけでなく、国内外の学会や会議等で成果発表を行い、そこでの様々な研究者との積極的な議論を通じて、今後の新たな進展への指針にもつながっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の順調な研究の進捗状況をふまえて、予定通り2023年度の研究計画を遂行する。また、今年度研究計画に無かった量子液晶に関連する成果を挙げることが出来たため、それらの問題についても深化・発展を図る。
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Remarks |
第17回(2023年)日本物理学会若手奨励賞 [領域3 (磁性)] 「トポロジカルな磁性とその発現機構・創発現象に関する理論的研究」 https://www.jps.or.jp/activities/awards/jusyosya/wakate2023.php
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