2023 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジカルスピン液晶に由来した創発的光機能性の探索
Publicly Offered Research
Project Area | Physical Properties of Quantum Liquid Crystals |
Project/Area Number |
22H04470
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡村 嘉大 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20804735)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スキルミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、量子液晶特有の光機能性を探索すべく、量子スピン液晶である磁気スキルミオンに注目した。スキルミオンはスピンが渦状に配列し、それぞれのスピンが球面の立体角を張るというトポロジカルなスピン配列をしている磁気構造体である。この特殊なスピン配列を反映して、電子は巨大な実効磁場(創発磁場)を感じることになるため、スキルミオンは特異な電磁気応答を示す。例えば、スキルミオン形成に伴い、ホール効果は急峻に増大するような振る舞いを見せる(トポロジカルホール効果)。本研究ではこのアナロジーとして、固体中の創発磁場によって光学応答も増大するのではないかという作業仮説のもと、巨大効果の実現を目指してきた。 様々な光学応答の中でも、最も力を入れたのが、磁気光学応答である。この効果の大きさは磁場や磁化に比例するため、創発磁場によっても増強されるものと期待できる。実際に、前年度はスキルミオン物質のGd2PdSi3において広帯域の磁気光学分光を行ったところ、特定の光学領域において磁気光学効果の大きさがスキルミオンの形成によって数倍にも増強されることを明らかにしている。今年度はさらなる拡張として、絶縁体GaV4Se8においても同様にトポロジカル磁気光学効果が発現するかを検証した。Gd2PdSi3と同様に広帯域のスペクトルを丹念に測定したところ、バンドギャップ近傍において、確かにトポロジカル磁気光学効果が発現していることがわかり、伝導電子の有無にかかわらず普遍的なものであることを証明した。また、GaV4Se8ではスキルミオンの大きさがGd2PdSi3の場合よりも10倍程度であるにも関わらず、効果の大きさは同等であった。現在は理論的な解釈を進めているところである。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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