2023 Fiscal Year Annual Research Report
スピン流を用いたスピン液晶の磁化制御
Publicly Offered Research
Project Area | Physical Properties of Quantum Liquid Crystals |
Project/Area Number |
22H04481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
新見 康洋 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (00574617)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 原子層磁性体 / スピン液晶 / 磁化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀末に発見された液晶は、21世紀における現在でもなお、凝縮系物理学の研究対象である。特に近年では、結晶の対称性からは予測できない非自明な2回対称性の電子状態を有するネマティック超伝導体や、フラストレーションの強い反強磁性体においてスピン液体状態と磁気秩序相の間に現れる「スピン液晶」と呼ばれる特異な磁気状態が注目を浴びている。その一方で、スピン液晶を自在に制御するような研究は未だ行われていない。 そこで本研究課題では、古典及び量子スピン系に現れるスピン液晶の磁化を、スピントロニクスで重要な役割を果たすスピン流で制御することを目指した。スピン液晶の舞台として、らせん磁性体CrNb3S6、三角格子反強磁性体Ag2CrO2(S = 3/2)とAg2CoO2(S = 1/2)を用いた。 2023年度も引き続き、らせん磁性体CrNb3S6のスピン注入磁化反転の実験に取り組んだ。素子の最適化などを行ったが、スピン注入磁化反転を行う装置の静電対策が万全ではなく、研究期間内にはスピン注入磁化反転まではたどり着かなかったが、2年間で指針は得られたので、継続して行う予定である。 一方、三角格子反強磁性体Ag2CrO2に関しては、薄膜デバイスを作製し、異常ホールを測定した結果、反強磁性転移温度で4%というこれまでに報告された値よりも大きなホール角を得た。また異常ホール伝導度を縦伝導度の関数としてプロットすると、これまでによく知られた異常ホール効果の振舞いとは大きく異なる依存性をもつことが分かった。これは、反強磁性転移温度近傍での磁気モーメントのゆらぎによるスキュー散乱で説明できることが分かった。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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