2022 Fiscal Year Annual Research Report
夏季西部北太平洋における固体エアロゾルと氷晶核の航空機観測
Publicly Offered Research
Project Area | Mid-latitude ocean-atmosphere interaction hotspots under the changing climate |
Project/Area Number |
22H04488
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大畑 祥 名古屋大学, 高等研究院(宇宙), 助教 (70796250)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エアロゾル / 航空機観測 / 鉱物ダスト / ブラックカーボン / 氷晶核 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏季西部北太平洋の大気境界層内および自由対流圏中において、放射収支や雲の氷晶生成にとって重要な鉱物ダスト等の固体エアロゾルの典型的な数濃度とその変動を明らかにするため、2022年夏季に航空機を用いてエアロゾルをフィルタ上に採取した。テストフライトを含む計11フライトで採取したエアロゾル試料を実験室で水に分散させ、個々の非水溶性の固体粒子の複素散乱振幅を測定した。複素散乱振幅は粒子の複素屈折率・体積・形状に依存する複素数のパラメータである。複素散乱振幅のデータに基づき、固体粒子をダスト様粒子、ブラックカーボン(BC)様粒子、バイオエアロゾル様粒子に分類し、それぞれの数濃度を求めた。各フライトにおけるBC様粒子の数濃度は、航空機上で独立の測定器により測定されたBC粒子の数濃度と高く相関し、航空機上でのエアロゾルのフィルタ採取と固体エアロゾル分析の妥当性を支持する結果を得た。また、ダスト様粒子の数濃度の変動は、電子顕微鏡による鉱物ダストの検出数の変動と整合的であった。数フライトにおいて、顕著にBC様粒子とダスト様粒子の数濃度が増加し、アジア大陸起源のBCとダストが西部北太平洋の観測領域に輸送されたことが示唆された。発生源から離れた遠隔域におけるダストの数濃度の測定例は限られており、ダストの動態を理解する上で重要なデータであると考えられる。バイオエアロゾル様粒子はすべてのフライトを通じて非常に低濃度であり、数濃度定量の不確実性が大きいことが明らかになった。また、研究協力者の分析により、氷晶核数濃度の初期的なデータも得られた。今後、氷晶核粒子の数濃度に対する各種の固体エアロゾルの寄与の分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、航空機を用いたエアロゾルの採取を実施し、固体エアロゾルと氷晶核の分析を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
固体エアロゾルの観測データの解析に加え、航空機に搭載された他の測定器によるエアロゾル数濃度・BC数濃度のデータの解析や、観測された空気塊の後方流跡線解析を実施することにより、固体エアロゾルの高度分布や起源を推定する。氷晶核粒子の数濃度に対する各種の固体エアロゾルの寄与の分析を進める。
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Research Products
(1 results)