2022 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト型酸化物イオン伝導体の系統的な機能コアの解明と新材料探索
Publicly Offered Research
Project Area | New Materials Science on Nanoscale Structures and Functions of Crystal Defect Cores |
Project/Area Number |
22H04504
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤井 孝太郎 東京工業大学, 理学院, 助教 (30635123)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化物イオン伝導体 / アパタイト型構造 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,アパタイト型構造をもつ材料をはじめとする酸化物イオン伝導体について,主にX線回折や中性子回折を用いて高いイオン伝導を示す構造的な要因を明らかにすることを目的としている.アパタイト型構造をもつ酸化物イオン伝導体は,高いイオン伝導度を示す重要な材料である.その高いイオン伝導度を示す要因となる機能コアの解明と,その解明された機能コアに基づく材料の探索は,新たな酸化物イオン伝導体を発見するうえで重要な課題となっている. 2022年度はJ-PARC MLFにあるSenju回折計にて,空気とともに石英中に封緘したLa過剰組成をもつアパタイト型ランタンシリコン酸化物の高温中性子回折測定を新たに実施した.測定は,室温,600℃,700℃,800℃にて実施し,幅広くデータを得るために,結晶の方位を複数変えながら回折データを収集した.それぞれについてデータ処理(回折データから解析するための回折強度データへの変換処理)を行った.現在,様々な条件での構造解析を進めており,より精密な構造情報が得られるようなデータ解析を進めている. また,これまでのイオン伝導体に関する研究から考えた戦略により新しいイオン伝導体の探索も進め,いくつか新しいイオン伝導体を発見することができた.発見したイオン伝導体についても,X線や中性子を用いた構造解析を進めており,構造とイオン伝導の関係について系統的な理解が進められるよう研究を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度目的としていた高温の中性子回折測定を実施することができ,イオン伝導経路を示唆するような結果が暫定的な解析で得られている.機能コアの本質に迫るためには,さらに細かい構造解析が必要であり,今後の課題となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に測定したデータの構造解析を進め,明らかにされていないイオン伝導経路の解明や,アパタイト型イオン伝導体における真の機能コアの解明を進める.また,実験で明らかになった情報に基づき,量子化学計算も進める.理論計算は,より細かい原子の動きを調べることができるため,実験の情報に基づいた計算を行うことで,機能を示す要因を明らかにするための重要な情報が得られると期待される.
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