2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境に応答して自己組織化する水圏機能ポリマーミセル材料の創成
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
22H04539
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺島 崇矢 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70452274)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリマーミセル / 両親媒性ランダム共重合体 / 自己組織化 / セルフソーティング / 環境応答性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、両親媒性ランダム共重合体に代表される両親媒性高分子が水中で自己組織化して形成するミセルを「水圏機能材料」と定義し、異なるポリマーが共存する状況下において、環境に応答してセルフソーティング(同じポリマー同士で会合)または共自己組織化(異なるポリマー同士で会合)するミセルの創出を目的とする。まず、カチオン性共重合体とポリエチレングリコール(PEG)鎖をもつ共重合体の自己組織化を調べた。疎水性基をある一定量以上導入したPEG系共重合体は、カチオン性共重合体と水中で共自己組織化して融合ミセルを形成した。この融合ミセルに塩を加えると、二つの共重合体がセルフソーティングしてカチオン性ミセルとPEGミセルに分離し、その速度と効率は塩の種類や濃度、温度により変化した。そこで、この可逆的な自己組織化の機構を解明するため、中性子小角散乱によりPEGミセルとカチオン性ミセルの動的な会合挙動を調べた。その結果、PEGミセルは低濃度条件でユニマー鎖の交換が優先し、濃度や温度の増加によりミセル衝突によりポリマー鎖交換が促進されることが明らかとなった。さらに、この動的な会合挙動を生かして、ランダム共重合体ミセルを架橋点に用い、自己修復性と選択的な接着性を示すハイドロゲルを創出した。また、テラヘルツ分光を用いてPEGミセルの水和量を評価し、温度応答性との相関を解明するとともに、塩濃度により温度応答性を自在に制御可能なランダム共重合体ミセルの創出も達成した。ミセル形成に有効であったカチオン性ランダム共重合体は、水蒸気アニール処理により側鎖が相分離して5 nm以下のドメイン間隔をもつラメラ構造を形成することも見出した。現在、そのラメラ構造への含水特性など、詳細に評価検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ミセルの動的会合挙動を利用して、当初2年目以降に実施予定であったミセル架橋を用いた自己修復性/選択的接着性をもつハイドロゲルの創出も一年目ですでに達成した。また、カチオン性ランダム共重合体の相分離など、当初の予想を超えた発見にも至っており、当初の計画以上の発展と進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、当初の計画以上に進展しており、2年目も計画の通り推進する予定である。
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