2022 Fiscal Year Annual Research Report
Aquatic Materials Based on Ionic Ladder Polymers
Publicly Offered Research
Project Area | Aquatic Functional Materials: Creation of New Materials Science for Environment-Friendly and Active Functions |
Project/Area Number |
22H04541
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石割 文崇 大阪大学, 大学院工学研究科, 講師 (00635807)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ラダーポリマー / イオノマー / 中間水 / 高分子反応 / 単結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン性置換基を持つ高分子は、特異な水との相互作用により多様な物性を発現するが、主鎖に沿った自由回転が不可能なラダーポリマーでは導入されたイオン性官能基の配向や相対位置を制御することが可能であり、従来のイオン性高分子とは全く異なる「水」との相互作用を示す可能性があると考えた。本研究では、ラダーポリマーを主鎖に持ち、イオン性置換基の主鎖に対する配向や相対的位置が厳密に制御されたラダー型アイオノマーを開発し、水圏機能の探索を行う(研究項目1)。それに加え、剛直な折れ曲がり構造を持つラダーポリマーであるミクロ多孔性ラダーポリマーにイオン性置換基を導入したイオン性ラダーポリマーを合成し、イオン伝導特性などの機能開拓を行う(研究項目2)。 令和4年度の研究では、ラダーポリマーの片面のみにイオン性置換基を有する二面性ラダーポリマー(研究項目1)の合成に向け、さまざまなイオン性置換基の導入が可能なアルキルブロモ基を導入したラダーポリマーの合成を行なった。インデノフルオレンをコアとしてもち、アルキルブロモ基を側鎖に持つ二面性モノマーを合成し、キラルカラムによって、光学分割を行なった。この二面性モノマーから鈴木カップリングおよび、重合後環化を行なった。一連の反応が副反応を伴うことなく進行し、目的とするアルキルブロモ基を導入した二面性ラダーポリマーが得られたことを、詳細なNMRスペクトルの解析から見出した。そのほかにも、あるDACO含有のミクロ多孔性ラダーポリマーの水含有状態のDSC測定およびIRスペクトルから、中間水を発現することを見出し、DACO含有ラダーポリマーの生体適合性を見出した。さらに、DACO含有の化合物を水存在下で再結晶することにより、1次元状に水が整列した興味深い構造の単結晶が得られることを偶然発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究項目1においては、多段階の有機合成反応及びラダー化重合を経て、目的とする前駆体ポリマーの合成に成功した。また、研究項目2においては、当初想定していなかった化学構造のポリマーで中間水が発現することを見出した。また、研究項目2では、DACO含有ラダーポリマーにおける中間水発現や、水含有結晶の発見と言う、当初想定していなかった水圏機能の発見の糸口をつかむことができた。そのため、当初の計画以上に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目1では、令和4年度に合成したアルキルブロモ基含有二面性ラダーポリマーに対し、種々のアミンを反応させることにより、アンモニウムイオン基を片面に有する二面性ラダーポリマーの合成を行い、その自己集合構造、気水界面での挙動、及び、分子水との相互作用を検討する。また、研究項目2においては、令和4年度に見出したDACO含有ラダーポリマーにおける中間水発現と言う水圏機能の予想外の発見を受け、さまざまな化学構造のDACOラダーポリマーを合成し、中間水発現のために必要な構造要素の調査を行う。また、水含有結晶に関しては、その熱安定性の調査や、水分子の動的挙動に着目した物性測定などを行う予定である。
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Research Products
(45 results)