2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of fine-pitch readout gaseous TPC for the low-mass dark matter search
Publicly Offered Research
Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
22H04574
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東野 聡 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (00895469)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / ガス検出器 / TPC / ピクセル検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、方向に感度をもつ暗黒物質探索のためのピクセル読み出し型ガスTPCを開発することを目的としている。O(100)μmの読み出しピッチの検出器を実現するには、専用の読み出しエレクトロニクスが必要となる。そこで、微細ピクセル型のガスTPC読み出しに対応した読み出しASICを開発し、ガスTPCとしての動作検証を行うことを研究目的としている。 当該年度では、ASICの開発とその読み出しシステムの開発を実施した。ASICの設計開発はKEKのE-Sysグループと協力して行なった。今回のガスTPCは、陰イオンガスと呼ばれるSF6ガスを低圧で充填して動作させることを計画しており、それを実現するために遅い信号波形読み出しと、広いダイナミックレンジを要するアナログ回路をASICに実装することにした。ピクセルピッチの155μmサイズの正方形ピクセルを8×8=64チャンネル搭載したASICである「QPIX NEO」を開発した。 初期バージョンは動作確認のためのプロトタイプという位置付けであったため、ガスTPCには実装せずパッケージングをして動作検証に専念して使用することにした。 パッケージングしたASICの動作検証用に、ASICを搭載する専用の読み出し基板と、それを制御するFPGA搭載基板を用意する必要があった。ASIC搭載基板は新規開発を行なった。これもKEKグループと協力して実施し、KEK現地やリモートでの打ち合わせを重ねて開発を行なった。FPGA搭載ボードは市販の評価ボードを購入して利用することにした。 開発したASIC搭載基板は1月ごろに完成し、外観や電源入力時の漏れ電流値は正常であることを確認した。現在、ASICの性能評価を行うべく、FPGA搭載ボードに実装するファームウェア開発とソフトウェア開発を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に実施予定だったASIC開発をおおむね予定通り行うことができ、ASIC製造と並行してASIC搭載基板の開発準備も進めてきたおかげで、ASIC基板の開発にもスムーズに移行することができた。ASIC評価のためのファームウェア開発とソフトウェア開発に関しては計画よりも時間がかかる見込みである。計画では該当年度中に次期バージョンのASIC設計を開始する予定であったが、未だ該当年度に開発したASICの性能評価を行っている途中である。 一方、開発済みの初期バージョンASICをそのまま用いてガスTPCを動作させるプランもあり、このASICの性能に問題がなければ次年度でガスTPC開発に移行することができる。それができれば大幅に予定を踏み倒すことができるため、その可能性もふまえ、ASIC性能評価次第ではあるが研究の進捗は順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、該当年度に開発したASICの動作検証結果によって2パターンの研究計画を考えている。開発したASICのアップデートが必要な場合、回路設計やレイアウト設計をやり直す必要があるが、正常に動作している場合はこのASICをそのまま用いてガスTPCを開発する。ガスTPCとして動作させるためには、ASICに電極パッドを取り付けることと、ガスを充填する小型チェンバーを開発することが必要である。これらの開発を順次行っていく。
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