2022 Fiscal Year Annual Research Report
Spin dynamics of quasicrystal and quasicrystal approximant
Publicly Offered Research
Project Area | Hypermaterials: Inovation of materials scinece in hyper space |
Project/Area Number |
22H04582
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
那波 和宏 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (10723215)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マグノン / 結晶場励起 / 近似結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
準結晶における磁気長距離秩序の発見、1/1近似結晶における非共線的な磁気構造の解明により準結晶・近似結晶においても特異な磁性が発現する期待が高まっている。本研究は、これらの磁性がなぜ発現するのかを中性子散乱によって微視的な観点から明らかにすることを目的とする。1年目は以下の3点に関する研究を推進した。 1.蔡型クラスターを有しTbを磁性元素に持つ複数の1/1 近似結晶に関して粉末中性子回折実験を行い磁気構造の配位子置換効果を研究した。配位子置換によって原子辺りの電子数(e/a)を増加させると渦型反強磁性磁気構造から非共線的な強磁性磁気構造(自発磁化有)に変化することを明らかにした。特に中間的な組成では温度変化に伴い渦型反強磁性磁気構造から非共線的な強磁性磁気構造へに転移することを見出し、両磁気構造が同一組成で実現することからTbの一軸異方性が両磁気構造に必須であることが示された。 2.1と同様の1/1 近似結晶に関して単結晶・粉末中性子非弾性散乱実験を行い、観測された結晶場励起を通じて磁気異方性の配位子置換効果を研究した。配位子置換によって原子辺りの電子数(e/a)を増加させると結晶場励起に由来する異方性エネルギーが大きくなるとともに同時に異方性エネルギーのランダムネスが大きくなることが分かった。加えて点電荷模型に基づく解析により一軸異方性の方向が配位子置換によって大きくは変化しないことも明らかになった。 3.磁気異方性がほとんどないと思われるEuを磁性元素に持つ1/1近似結晶の粉末中性子回折実験を行い、磁気異方性がない場合にどのような磁気構造を実現するかを研究した。観測された磁気反射から既に観測されている渦型反強磁性磁気構造とは異なる磁気構造であることが分かったが、多結晶試料の品質、統計の不足、ドメインの識別が困難な磁気構造である等の問題がありが磁気構造の決定には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
配位子を系統的に変化させた系での中性子回折実験や中性子非弾性散乱実験が進み、Tbを磁性原子として含む近似結晶については配位子置換効果がほぼ明らかになった。配位子を置換し原子辺りの電子数(e/a)が大きくなると、磁気モーメント間の強磁性的な磁気相互作用が増強される一方で結晶場に由来する一軸異方性の向きはほぼ変化しないことが明らかになった。加えてEuを磁性元素に持つ近似結晶の磁気構造が既に知られている磁気構造とは異なることも分かり、準結晶や近似結晶の磁気構造の理解に新たな展開をもたらしつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の実績を踏まえると今後の研究において重要であるのは1.磁気ダイナミクスの観測及び2.Euを磁性元素に含む近似結晶の磁気構造の同定である。1については中性子非弾性散乱実験によって達成されるが、磁気相互作用が小さいためエネルギー分解能を相当に上げる、同時に試料の量をなるべく稼ぐ必要がある。2については粉末中性子回折実験において多結晶試料の品質向上、短波長を使用することでEuによる中性子の吸収を軽減する対策が必須であり、同時に単結晶試料の育成にも着手する必要がある。
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