2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習分子シミュレーションによる準結晶の高次元性の解析:異常高温比熱の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Hypermaterials: Inovation of materials scinece in hyper space |
Project/Area Number |
22H04602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永井 佑紀 東京大学, 情報基盤センター, 准教授 (20587026)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハイパーマテリアル / 異常高温比熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本公募研究では、前公募研究において開発した自己学習ハイブリッドモンテカルロ法による準結晶および近似結晶に対する機械学習ニューラルネットワークポテンシャルを用いることで、実際の実験で測定されている高温での比熱をシミュレーションで再現することを試みた。そして、比熱を分子動力学法のエネルギー期待値の揺らぎとして計算することで、これらの物質群における比熱の計算の再現に成功した。準結晶および近似結晶においては、800K以上の高温において比熱が固体で予測されるデュロンプティ則の値3kBを大きく上回ることが報告されており、その原因が準結晶の高次元性と何らかの関わりがあるのではないかと、20年以上議論が続けられていた。本研究では、計画班の木村グループが合成しているAl-Pd-Ruの比熱の実験結果と、同じ物質でのシミュレーションによる比熱の計算結果を直接比較し、比熱が800K以上で大きく上昇する振る舞いを実験とシミュレーションの両方で発見した。また、分子動力学シミュレーションにおけるそれぞれの原子の時間発展を追いかけて調べることにより、ある特定のAl原子が、比熱の増大が現れる温度領域になると急速に固体中を拡散し出すことがわかった。そして、その拡散の経路が、準結晶および近似結晶の高次元モデルと密接な関わりがあることがわかった。具体的には、絶対零度において原子構造を理解するために導入された高次元空間の超原子模型が、有限温度によってその占有率を揺らがせられたと考えた時に出現する仮想Al原子の出現位置と、シミュレーションで得られた拡散経路が完全に一致することがわかった。この結果はPhysical Review Lettersに投稿され、アクセプトされている。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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